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早やくも植田生まれ、涼風に早苗なびく♡橋本・杉尾の明王寺周辺~まさに日本の原風景
国が認めた日本の音風景100選「杉尾の巨石」として名高い、和歌山県橋本市杉尾の山里で5月9日、早くも植田が生まれ、早苗が涼風になびいて、素晴らしい日本の原風景を繰りひろげた。
「杉尾の巨石」は、明王寺わきの635段の階段を登った山上にあり、耳を当てると紀ノ川の水音が伝わる。同寺前の畑には、昔は大きな「寺小屋」(学問施設)があり、多くの子供たちが巣立ったという。
この日、明王寺の裏手の植田には、同寺や裏山の影が映えて、植えて間もない早苗がそよそよ。あたりでは野あざみの花や、黄色い小花が彩りを添えている。
田畑をうるおす不動谷川や東谷川は、幾つもの小滝を経て、波しぶきを上げながら流水。ふと現われた2つの紋白蝶は、涼風にあおられ、引き離されても、必死で相手に近づき、一緒に新緑の中へ消えていった。
明王寺近くには駐車場もトイレもある。時折、マイカーで訪れた人たちが、明王寺に参拝した後、植田や野あざみ、柿若葉などを眺めて、「やっぱりこの山里の四季はたまらない魅力です」と話していた。
[季語・植田の俳句15句紹介]
この庵の障子破れて植田見ゆ(山口青邨)
みちのくの星曼陀羅の植田かな( 鷹羽狩行)
みちのくは奥ほど植田ととのへり(能村登四郎)
天の神地の神たちに植田澄む(右城暮石)
太陽の讃美はじまる植田水(飯田龍太)
嫁ぎ来し素顔にひろき植田かな(鷲谷七菜子)
屯田の跡一望の植田かな(高浜年尾)
川鳴りだす植田に万の星きらめき(三橋鷹女)
植田あり名に過ぎたれど草の王(森澄雄)
植田くらく城を映せるまま暮るる(山口青邨)
植田ふくらみ安曇野はいま青の時(能村登四郎)
植田ゆく花嫁の手の高く引かれ(松崎鉄之介)
犬吠ぇて夕暮のくる植田村(森澄雄)
磨崖仏植田果までみそなはす(能村登四郎)
老人の植田ただ見て立ち去りぬ(山口青邨)