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石堂丸のお母様に天心からぼたん、しゃくなげ供花♡橋本学文路の西光寺・苅萱堂~黄砂去って紅白神々しく
平安時代の親子哀話「石童丸物語」のヒロイン・千里御前(ちさとごぜん)の菩提寺である和歌山県橋本市学文路、高野山真言宗・西光寺・苅萱堂(かるかやどう)=田野賢朗(たの・けんろう)住職=境内で、中国・黄砂の去った4月15日、色鮮やかな紅ぼたん(牡丹)や、真っ白なしゃくなげ(石楠花)が咲いて、訪れる参拝者らは「これは天心からの供花です」と手を合わせていた。
「石童丸物語」は、筑紫(つくし)の国(福岡県)の領主が、苅萱道心(かるかや・どうしん)と称して高野山で修行。道心が出家後、2番目の夫人(側室)・千里御前が生んだ一子・石童丸が、父と会いたさに、千里と共に高野山をめざした。
ところが高野山は女人禁制のため、母を山麓・学文路の宿・玉屋(たまや)に残して道心に会ったが、修行中の道心は父と名乗れず、落胆した石童丸が玉屋に戻ると、母は心労のためすでに急逝。やがて石童丸は道心の弟子になれたが、父は生涯、父子とは名乗れなかったという。
一方、高野山麓の俳人によると、俳聖・松尾芭蕉が「奥の細道」へ旅立つ前年、母の位牌を抱いて、苅萱堂前の表参道から高野山へ参拝。奥の院・参道の芭蕉・句碑には「父母のしきりにこひし雉子(きじ)の声」と刻まれており、「親思う心は石堂丸と変わらない」と話している。
苅萱堂のそばには、千里御前の五輪塔や「建泰妙尊(けんたいみょうそん)」と刻んだ石碑などが建ち、田野住職の奥様が四季の花々を供花。この日、その近くで紅ぼたん、しゃくなげが天心の紅白美を捧げていた。
写真(上)は紅ぼたんのクローズアップ。写真(中)は千里御前の五輪塔や石碑。写真(下)はく清らかに咲いたしゃくなげ。