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葛の花咲いて、小雨に霞む妹背山♡万葉の旅人の心しみじみ~紀の川フルーツライン
万葉時代の旅人に愛されたことで名高い、和歌山県かつらぎ町の妹背山(いもせやま)が望める、橋本・伊都地方の紀の川フルーツライン(広域農道)沿いで、9月17日、沢山の葛の花(くずのはな)が咲き誇り、高野山へマイカーで向かう参拝・観光客の心を惹きつけていた。
葛の花は、万葉集に「萩(はぎ)の花 尾花(おばな)葛花(くずばな) 撫子(なでしこ)の花 女郎花(おみなえし) また藤袴(ふじばかま) 朝顔の花」(山上憶良)と詠まれた秋の七草の一つ
釈迢空(折口信夫)は「葛の花 踏みしだかれて 色あたらし この山道を行きし人あり」と詠んでいる。
この日午後、葛の花は小雨に濡れた蔓(つる)と葉の間から、赤紫の小花がブドウ状に咲き誇り、涼風を浴びて、その彼方に霞む妹背山は、紀の川畔で万葉情緒を繰りひろげていた。
紀の川フルーツラインは、橋本・高野橋付近から高野山方面へ、紀の川南岸の山腹を走る眺望のすばらしいルート。そこから北東を遠望すると、奈良方面から紀の川が滔々と流れてきて、万葉人に愛された心が伝わってくる。
この3連休中は、台風14号接近に伴う「暴風雨・警戒」が必要だが、マイカーによる高野・参拝者らは、「今日は素朴な葛の花と、山川の景色に心癒された」と喜んでいた。
[季語・葛の花の俳句5句紹介]
むづかしき禅門出れば葛の花(高浜虚子)
ひかへ目な色に惹かれて葛の花(稲畑汀子)
日のにほひ月夜にのこり葛の花(森澄雄)
三日居りて山霧のみの葛の花(水原秋桜子)
わが行けばつゆとびかかる葛の花(橋本多佳子)
写真(上)は葛の花の向こうに霞む妹背山と紀の川。写真(中)は葛の花のクローズアップ。写真(下)は台風14号進行コースが心配な橋本・伊都地方の紀の川沿いのまち。