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橋本の風物詩・灯籠流し♪家族連れらご先祖に感謝
ご先祖の御霊(みたま)をお送りする第3回「橋本灯籠(とうろう)流し」が、お盆の8月15日夜、和歌山県橋本市の紀の川に注ぐ橋本川・親水堤(しんすいてい)で行われ、訪れた約1000人の善男善女が静かに合掌して、ご先祖に感謝した。
高野山真言宗の観音寺(東家)と応其寺(橋本・古佐田)が主催。この日夕刻、橋本川右岸の受付テントで、300数十人の善男善女が、それぞれ蓮の花の絵模様が入った灯籠(高さ約20センチ、直径約15センチ)を受け取り、家族や友人知人らとともに古東橋下流の右岸・親水堤の石段付近に参集。
観音寺の柿内諦光(かきうち・たいこう)、応其寺の松井孝憲(まつい・こうけん)両副住職ら4~5人の僧侶が読経する中、善男善女はそれぞれ「世界平和」「家族安泰」などと記した灯籠のろうそくに火を灯してもらい、ゆっくりと流水に浮かべた。
ちょうど昼間降った雨で、水量はいい頃合いになり、灯籠は古東橋から松ヶ枝橋にかけて、ゆらゆらと流れる。川面には明かりの列ができて、あたりは郷土のお盆情緒でいっぱい。
親水堤では大勢の善男善女が、静かに手を合わせて、「今年もご先祖様を明るくお迎えし、この通り、綺麗にお送りすることができました」と、安らぎの顔を見せていた。
左岸堤防には「かき氷」や「たこ焼き」など約10軒の出店が並び、灯籠1基(2000円)当たり、出店で使える500円券をもらった家族連れや若いカップルらが、灯籠流しの情景を眺めながら、仲よく味わっていた。
橋本市の灯籠流しは、戦後の昭和23年(1948)から、郷土名物「紀の川祭」で、花火大会とともに続けてきたが、平成25年(2013)に「紀の川カッパまつり」(高野口)と統合・開催した「紀の川橋本 SUMMER BALL(サマーボール)」以来途絶え、東京や大阪など都市部に住む若者たちの帰郷が少なくなった。観音寺と応其寺は同27年、このような市民の心情をくみ取り、灯籠流しを復活させ、今はお盆の大切な風物詩として定着してきている。
写真(上)は家族に見守られながら灯籠流しをする子供たち。写真(中)は灯籠流しに訪れた大勢の善男善女たち。写真(下)は僧侶が読経する中、橋本川を流れる灯籠のろうそく明かりの列。