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大輪のユリ奉納♪空海の母祀る寺~参拝客の心潤う

弘法大師空海の母・玉依御前(たまよりごぜん)を祀る、和歌山県九度山町の世界遺産・女人高野別格本山「慈尊院(じそんいん)」=安念清邦(あんねん・せいほう)住職=は、今、地元女性の奉納した大輪のユリを弥勒堂(みろくどう)前など4か所に供花、参拝・観光客の心を潤している。
高野山麓にある慈尊院は、女人禁制の高野山に登れない玉依御前が、やむを得ず起居。空海が毎月「九度」も下山して母と会った歴史的舞台。
また、和歌山の作家・有吉佐和子さん(故人)が、昭和34年(1959)に明治の女性を描いた小説「紀ノ川」が映画化され、主人公・花(司葉子さん)が、祖母と共に慈尊院へ乳房型絵馬を奉納。以来、安産・子宝の祈願寺としても脚光を浴びている。
今回、奉納されたのは、鉄砲ユリなどの交配種のプリンスプロミスユリ。花は淡紅色で葉は濃い緑色。強くもなく、軽くもない、頃合いの香りを漂わせる。オランダ最大の花卉(かき)市場の「切り花新品種部門」で、300種類以上の中から、第1位の栄冠を射止めた名花。地元女性が球根を購入して、自分の畑で丹精込めて栽培したという。
慈尊院では、奉納されたこのプリンスプロミスユリを「弥勒堂」(国の重要文化財)前をはじめ、長旅・巡拝できない人々のために四国88か所ご本尊(高さ約33センチの木彫)を祀った「大師堂」前、鬼子母神(きしぼじん)を祀る社(やしろ)前、人々を苦悩から救済する「観世音菩薩立像」前に供えた。
この大輪のユリ、梅雨空の下、幾つもの蕾(つぼみ)が次々と開花。全国から訪れる参拝・観光客は、山門をくぐくるなり、視界に入る朱塗りの多宝塔をバックに、大師堂や鬼子母神、観世音菩薩の前に飾られたプリンスプロミスユリに感銘。沢山の乳房型絵馬が掲げられた弥勒堂前では、手を合わせた後、清々(すがすが)しいユリの姿を観賞している。
慈尊院の安念邦賢(あんねん・ほうけん)副住職は、「丹精込めて育てられたユリを奉納していただき、その美しさに参拝・観光客が心和ませておられる。こんな有難いことはありません」と喜んでいた。
写真(上、下)は大師堂前や鬼子母神の社前に供えられたプリンスプロミスユリを喜ぶ安念・副住職。写真(中)は弥勒堂前で乳房絵馬などとともに輝くプリンスプロミスユリ。


更新日:2017年6月30日 金曜日 00:00

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