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素敵♪ちりめん雛人形~初桜酒造93歳清子さん制作

3月3日の「桃の節句」をひかえて、和歌山県かつらぎ町中飯降の日本酒「高野山 般若湯(はんにゃとう)」で名高い初桜酒造株式会社の売店で、今、ちりめん(縮緬)細工の可愛いお雛(ひな)様が飾られ、日本の酒文化にふさわしい手芸情緒を呈している。笠勝清人(かさかつ・きよと)社長が四季に応じて、母・清子(きよこ)さんの手作り作品の中から数点を飾っており、顧客から「ここへ来るのが楽しい」と喜ばれている。
清子さんは現在93歳。大学を卒業して結婚前の20歳代前半で、当時の常識だった「花嫁修業」に和裁(わさい)を習い、60歳代では大学時代の友達から押し絵(おしえ)を習得。その経験の中で、井上重義(いのうえ・しげよし)さんの「伝承の布遊び ちりめん細工」(NHK出版)を熟読し、本格的にちりめん細工を始めた。
この約30年間、自身の母の着物の端切(はぎ)れを活用し、連日、ハサミと針と糸で人形作り。今、座敷の飾り棚にある作品だけでも約1000点にのぼりそう
その内容も、鏡餅(かがみもち)と串柿の正月飾り、桃の節句の雄雛・女雛(おびな・めびな)、端午の節句の五月(さつき)人形…などの四季折々の作品、また、子(ね)丑(うし)寅(とら)卯(う)辰(たつ)巳(み)…などの十二支、さらに桃の節句に焦点を当てると、お雛様には翁・媼(おきな・おうな)、若い雄雛・女雛、竹筒から顔を出すお雛様もあり、いずれも清々(すがすが)しい。
座敷の壁には「掌(てのひら)に包みこみたい 縮緬豆手芸」と題した、清子さん自筆の心情を掲げている。中身は「掌から生まれたものを 掌に包めば 優しいぬくもりが伝わって 手すさびのひとときを楽しみたいと思う 豊かな心を甦らせてくれる それは 愛着のある埋もれた端裂(はぎれ)たちに 生命を与える手すさびでもある いと小さきものうつくし 清子」とある。
清子さんは、自身の母が大正・昭和に愛用した着物について、「とても廃棄などできない。ちりめん細工の人形にすれば、その端切れに命が宿る」と考え、連日、一針一針に丹精を込め、縫い続けてきた。
笠勝社長は、こうして生まれた清子さんの作品の中から、正月飾りや雛飾り、七夕飾りなど、季節に合った作品の中から、ほんの2、3点選んで、初桜酒造の売店の棚に展示。その小さなちりめん細工の人形が、「高野山 般若湯」などの商品にマッチして、蔵元らしい情緒を醸し出している。
清子さんは「今は大勢の方々と接するのが大変ですので、限られた親しい友人たちと、人形作りの時間を楽しんでいます。その一部を店頭に飾り、皆様に御覧いただいて、光栄この上ございません」と元気な笑顔を見せていた。
写真(上)は初桜酒造の売店に飾られた笠勝清子さん制作の雛飾り。写真(中)は座敷に飾られた沢山のちりめん細工の人形と制作者の笠勝清子さん、写真(下)はそれぞれに趣のある3種類の雛人形。


更新日:2017年2月26日 日曜日 00:00

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