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「高野の花たち」(96)生命力溢れるツルリンドウ
ツルリンドウ(蔓竜胆)はリンドウ科ツルリンドウ属で、リンドウ科としては日本でも数少ない蔓性の野草です。
蔓性といっても、蔓の長さはせいぜい80センチ程度で、高く絡むことは少なく、だいたい地面をはっています。
林の中に生えますが、人里近くから深山までと自生する範囲は広いようです。葉は細長いハート形で、花は淡紫色で鏡形をしており、長さは3センチほど。本種の場合、目立つのは花よりもむしろ楕円形の実の方であって、晩秋に枯れた花の先に赤色の鮮やかな実をつけます。花の時期は長く、時には花と実を同時につける時もあります。実を割ると、中は白い綿のようになっています。花言葉は「情愛」「正義」「誠」など。
ツルリンドウは、高野山町石道沿いにある弘法大師、子安地蔵、応其上人が祭られる神田(こうだ)地蔵堂(かつらぎ町)付近によく咲き、参詣登山者の目を楽しませています。
しかし、今夏は雨がほとんど降らず、そのうえ猛暑日が長く続くと言う異常気象で、ツルリンドウが枯死しないかと心配でした。
9月に入り、日が経つに従って、やや涼しさが感じられるようになると、元気な姿を見せてくれたのです。
写真を撮りながら、弱々しく見えるツルリンドウのその生命力のすごさに感動しました。
赤い実は昨年の秋、高野山内の寺院境内で撮影したものです。(TA記)
更新日:2016年9月14日 水曜日 20:35