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芯ある人にと「こけし」寄贈~子供たちに青森の夫婦
可愛い「こけし」の名産地、青森県平川市新屋町道ノ下に住む木工大工・葛西喜美男(かさい・きみお)さん(71)・宣子(のりこ)さん(72)夫婦は、4月19日、和歌山県九度山町の町立九度山、河根両小学校の児童計182人に「手作り・こけし」をプレゼントした。
葛西さんは、人々の心を救う「手作り・こけし」に魅かれ、平成21年(2009)~昨年3月末、せっせと「手作り・こけし」を制作。青森県内で閉校した小・中学校72校の児童生徒に計5218体の「手作り・こけし」を寄贈してきた。
今回は今年1月末、NHKテレビ番組「家族に乾杯」(笑福亭鶴瓶出演)で、九度山町が紹介された際、インタビューに答える町民や子どもたちの表情の可愛さに感嘆。青森県外では初めての寄贈となったという。
葛西さん夫婦は、胡桃(くるみ)や柳(やなぎ)、赤松(あかまつ)、柿(かき)の木を材料に、木々の「芯(しん)」を中心に残す方式で輪切りにし、全体をノミで加工、サンドペーパーで磨き上げ「手作り・こけし」と「手作り・吊るし飾り(プレート)」を制作。
大きな「手作り・こけし」は高さ約40センチ、直径約15センチ、小さなものは高さ約15センチ、直径約4センチ。「手作り・吊るし飾り」は直径約10センチ、厚さ1センチ足らずのプレート。いずれも「芯の入った やさしい人に」と、大切な言葉をしたためている。
葛西さん夫婦は、軽トラックに「こけし」と「吊るし飾り」を積載。4月14日に青森を出発して、軽トラ車中・4泊5日で、九度山に到着した。
この日、九度山小学校の同校体育館で行われた「寄贈式」では、テスト中の6年生25人を除く1~5年生計155人が集合。恋中淳悟(こいなか・じゅんご)校長は、日本地図を図示して、青森県の位置やリンゴ、こけしなどの名産品を質問形式で応答。「皆さんのために、こけしを持参してくれました」と説明、謝辞を述べた。
先ず、葛西さんは「願いのこもった、こけしを受け取ってください」と、最大の「手作り・こけし」(クルミ製)を、同校児童代表の5年生・和田樹(わだ・いつき)さんに手渡し、児童や教職員とともに記念撮影。小さな「手作り・こけし」を、テスト中の6年生の分を含む全員に、さらに1年生には「手作り・吊るし飾り」を加えて贈呈した。
葛西さん夫婦は、喜ぶ子どもたちの表情を眺めながら、「これからもこけしづくりに頑張りたい」と張り切り、恋中校長は「小さなこけしは、児童たちが持ち帰り、大きなこけしは、学校に飾ります」と謝辞を述べていた。
写真(上)は九度山小学校の児童を代表して大きな「手作り・こけし」を葛西さんから受け取る和田くん。写真(中)は「手作り・こけし」寄贈で記念撮影する葛西さん夫婦と九度山小児童たち。写真(下)は葛西さんが九度山小学校に寄贈した「手作り・こけし」の数々。