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「高野の花たち」(65)市平春日神社のカツラの木
桜の開花を前に、和歌山県九度山町指定文化財の市平春日神社のカツラ(桂)の木が、燃えるような美しさになりました。
雌雄異株で、葉が出る前、花弁も萼片(がくへん)も無い、淡紅色の花を枝一面に咲かせ、遠くから見ると木全体がピンクに染まっています。
高さ35メートル、胸高直径8メートルもあるこの巨木は、明治初年には、この木の周りに18本もの樹林を作り、四季折々に変化する色を楽しめたようです。
カツラ(カツラ科カツラ属)は、新生代第三紀(約6000万年前)には、アメリカ大陸にも広く分布した木ですが、他地域では絶滅し、ほぼ日本だけに残った貴重な樹種です。
ハート形の葉は、落葉するとメープルシロップのような芳香を放ち、「香の木(コウノキ)」の別名があります。花言葉は「不変」、まっすぐに天へ向かう姿は、昔から縁起が良いとされ、その材は、仏像の彫刻や囲碁・将棋の盤に使われました。
春爛漫の季節、橋本より明神ケ田和を越え、市平、久保、黒河を通り、奥の院に出る「黒河道(くろこみち)」を歩き、是非このカツラの巨木に出会ってください。(KE記)
更新日:2016年3月28日 月曜日 16:07