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「高野の花たち」(63)春の到来告げるネコヤナギ

ネコヤナギはヤナギ科の落葉低木。各地の山野の水辺に生え、高さは0・5~3メートルにもなります。
名前の由来は、長楕円形の花穂の手触りが、猫の感触に似ていることから名付けられました。川のほとりにあることから別名「川柳(かわやなぎ)」とも呼ばれています。
高野山町石道の八十九町石(文永8年・1271年建立)のそばですくすく育っているネコヤナギ。猫の尻尾のような花穂を一斉に上に向って顔を覗かせ、待ちに待った春の到来を真っ先にあたり一面に告げている様子がとても魅力的です。
花言葉は春風を受けてそよぐ姿から自由。そのほか親切、気まま、思いのままといろいろ。
ネコヤナギは、生け花に利用されているのをよく見かけますが、若葉を摘んで茶の代用にも使われます。また、近縁のコリヤナギ(行李柳)は畑で栽培され、その長いしなやかな枝を刈り取り、皮をはいで柳行李(やなぎごおり)の材料にしました。現在はその柳行李も昔話となりましたが、兵庫県豊岡市で伝統工芸として、保存されているそうです。
ネコヤナギを詠んだ万葉歌は4首ありますが、なかでも「かはづ鳴く 六田の川の 川湯の ねもころ見れど 飽かぬ川かも」が当時の人々の春の到来を待ちわびた心が、見事に表現されていて、感服します。
万葉歌に使われている「楊」は、立性のことで、枝先が地面に向っている様子をいいます。また「柳」は、枝先が太陽の光を求めて、空に向かっている様子のことで、垂性と呼んでいます。(YO記)


更新日:2016年3月25日 金曜日 22:45

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