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「高野の花たち」(60)雪の明王院のフクジュソウ
春一番に咲き、縁起のよい〝祝花用〟から名付けられたフクジュソウ(福寿草)は、雪どけとともに茎を出し、光沢のある黄花を開くキンポウゲ科の多年草です。日光を受けると開き、夕日になると閉じます。〝朝日さす弓師か店や福寿草〟蕪村の句です。
花言葉は、日本では「幸福を招く」とか「長寿」ですが、西洋では「悲しい思い出」になるそうで、大きな違いがあるようです。
以前、「うちの庭にフクジュソウがあるよ」と高野山明王院の住職から聞かされていたので、この3月はじめ訪ねてみました。
住職は不在でしたが、若い僧侶は「滑らないように注意してくださいよ」といいながら、通路に残る凍てつく雪をシャベルで取り除きながら、少し奥まった庭にこころよく案内してくれました。
庭に入ると、3センチほど積もった残雪の間から黄色の花一輪、顔を出していました。純白のなかにフクジュソウ、なんと愛らしい姿か、私は日本の花言葉にあやかろうと、カメラを正面から上から、横から斜めから、雪面に置くなど、いろんなアングルを模索しながら撮影しました。フクジュソウは、大門近くの民家の庭先でもつつましく咲き誇っていました。
草花の図鑑を開くと、フクジュソウの根を煎じて飲むと心臓病に効くとありますが、一方の図鑑には飲食すれば、嘔吐、脈の乱れ、呼吸困難になり、心臓マヒに至ると書かれていました。くれぐれもご注意を。(H記)
更新日:2016年3月11日 金曜日 17:26