高野山で五葉松の雪吊り♪金剛三昧院・初冬の風情

積雪シーズンを控えて、和歌山県高野町の世界遺産・高野山にある金剛三昧院(こんごうさんまいいん)=久利康彰(くり・こうしょう)住職=境内で、「五葉松(ごようまつ)の雪吊り」作業が行われ、初冬の趣(おもむき)を呈している。
同寺は建暦元年(１２１１)、北条政子(ほうじょうまさこ)の発願で、源頼朝(みなもとのよりとも)の菩提に禅定院として創建。承久元年(１２１９)には源実朝(みなもとのさねとも)菩提のため改築し、金剛三昧院と改称。将軍家の菩提寺として信仰を集めた。国宝の多宝塔や重要文化財の経堂がある。
五葉松は高さ約４メートル、幹周り約１メートル、推定・超１００年生で、山門を入った右側に厳かに立ち、５個の吉野青石と金閣寺垣(きんかくじがき)に囲まれている。とくに名高い和歌山県天然記念物のシャクナゲなど、半世紀にわたり同院の庭剪定を任されている、橋本市清水の「西岡庭園」の西岡克紘(にしおか・かつひろ)さんによると、この五葉松は約１５年前、境内の一部の景観を改めようと、久利住職と相談のうえ、造園業者が静岡市浜北区で育てたのを移植。丹精込めて世話してきたという。
快晴の１２月上旬、西岡さんら３人は、高野山では滅多に見られない「五葉松の雪吊り」作業を実施。ゴンドラや脚立を使って高所に上がり、梢(こずえ)を中心にして、荒縄(あらなわ)で枝々を吊り上げ、積雪の重みで枝が折れないように固定。濃緑の松葉の上に堆積した古い松葉は、小ぶりな竹箒(たけぼうき)を使って、さっぱりと払い落とした。
この日の朝は霜、昼は小春日和で、綺麗に〝雪吊り化粧〟した五葉松が、格別輝いて見える。訪れる参拝・観光客らは「金沢の兼六園の雪吊りは、見たことがあるが、高野山の雪吊り風景は初めて」と驚き、盛んにカメラやスマホで撮影する。
西岡さんは「これで大雪が降っても大丈夫。この冬は、雪吊りの五葉松の積雪の景色を楽しんでください」と、笑顔で見上げていた。
写真(上)は高野山・金剛三昧院の「五葉松・雪吊り」作業の風景。写真(中)は高所の作業はゴンドラを使う。写真(下)は美しく雪吊りを終えた高野山・金剛三昧院の五葉松。

Tweet