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車椅子で楼門前参拝~丹生都比売神社に舗装路完成

約1700年の歴史を誇る世界遺産・丹生都比売(にうつひめ)神社=丹生晃市(こういち)宮司・和歌山県かつらぎ町上天野230=は、文化庁の承認を得て、体の不自由な人たちが車椅子でも楼門(ろうもん=国の重要文化財)前で参拝できるように、簡易舗装の参拝路を設置した。丹生宮司は「当社は国の重要文化財で世界遺産のうえ、境内も国の史跡です。文化庁と慎重に協議を重ねて、景観を壊さないよう工夫、調和する参拝路としました」と説明、「体の不自由な人やご高齢の方々が参拝できるよう、長年の念願を叶えることができました」と喜んでいる。
同神社は、天照大御神(あまてらすおおみのかみ)の妹神・丹生都比売大神を主祭神とし、同大神を祀る全国約180神社の総本社。弘仁7年(816)には、弘法大師・空海が、同社の神領を拝借、高野山を開創した「神仏融合」のはじまりの神社とされる。楼門奥に横1列に並ぶ本殿4棟は、室町時代に再建された日本最大の春日造りで、各棟には、檜皮(ひわだ)屋根と、壮麗な彫刻や彩色が施されている。
参拝の場合、先ず鳥居をくぐり、太鼓橋を渡り、再び次の鳥居をくぐって、長い参道を本殿に向って真っ直ぐに進み、石段を登って楼門前から参拝する。
今回、新設された参拝路は、参道左側の芝生広場の縁(ふち)をコの字型に回る長さ62メートル、幅1・5~2メートルの舗装道路。文化財を壊さないよう本来の参道を避け、地中を傷つけないよう盛り土とし、土と砂を固化材で固め、周囲の景観に調和する土色とした。また、杉の巨木の走り根を傷めないよう木材を渡して、スロープを緩やかなものとした。
同神社では、このほか赤外線センサー、防犯カメラ、人感センサーなど防犯・防災施設の新増設、第1駐車場のトイレ(10人用)新設などに取り組み、今年中に完成させたい考え。さらに鏡池に架かる太鼓橋(輪橋=りんばし)では、橋木修理と江戸期の彩色に戻す塗装工事中で、来年3月完成を目指している。
丹生宮司は「文化財を壊すことは絶対いけませんから、文化庁としっかり相談しながら熟慮を重ねて、どなたでも参拝できる神聖なお社にすることが大切だと思っています」と語った。
問い合わせは同神社(0736・26・0102)。
写真(上、中、下)は完成した丹生都比売神社の簡易塗装の参拝路。


更新日:2015年9月26日 土曜日 00:00

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