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きいちゃんラジコンカーに乗る♪国体・投てき回収へ
和歌山県橋本市の県立紀北工業高校・ものづくり研究部は1年前、紀の国わかやま国体のやり投げ、円盤投げ、ハンマー投げの投擲(とうてき)3競技で、回収係員に代わって活躍する「投てき回収ラジコンカー」(2台)を完成させたが、この9月中旬、さらに同校機械科の生徒たちが、紀の国わかやま国体マスコットキャラクター「きいちゃん」を完成させて、ラジコンカーに搭載した。10月2日から5日間、和歌山市の県営紀三井寺公園陸上競技場で開かれる同国体の投てき競技に登場することになっていて、やりや円盤などの回収に可愛く走り回る「きいちゃん・ラジコンカー」は、多くの選手・観客を楽しませそう。
このラジコンカーは、四輪タイヤ上にアルミ製の四角い台を置き、その上にやりを入れるパイプ、ハンマーを乗せるケース、円盤を収納する容器を設置した、いわば〝特殊小型トラック〟の形式(高さ約80センチ、長さ約120センチ、幅約70センチ)で、モーター&バッテリーを搭載。無線操縦により、前後左右に素早く方向転換・前進後進し、スピード制御も自由自在。時速は約15キロ、積載重量は約20キロの機能を備え、やりなら4本、円盤なら3枚を積載・走行できる。
これとは別に、同研究部が制作した「紀北ソーラーカー」は、昨夏の「ソーラーカーレース鈴鹿2014」(国際自動車連盟代替エネルギーカップ)チャレンジクラスで、2度目の優勝を飾るなど、同校は工業技術研究でも有名校。
このため2年前には、国体関係者から「投てき回収ラジコンロボット」の制作依頼があり、これを快諾して創意工夫を重ね、昨年9月に本体機能部分が完成。橋本市運動公園・陸上競技場で、同研究部顧問の中岡進(なかおか・すすむ)教諭や、同校陸上部の市川貴浩(いちかわ・たかひろ)顧問が見守る中、部員12人がラジコンカーの操縦実験を行い、その見事な回収能力を保持していることを確認した。
さらに同校機械科の生徒約30人は、「選手や観客に楽しんでもらおう」と、ラジコンカーのボディー制作や「きいちゃん」づくりに着手。今回、ラジコンカーの1台は黄色、もう1台は青色のボディーが出来上がり、可愛い「きいちゃん」人形1体(高さ約80センチ、カーボン製)も完成。残る1体と、国体選手や観客を歓迎して動く「きいちゃん」人形も制作することにしている。
同校ものづくり研究部=3年・林秀尚(はやし・ひでひさ)部長=は校庭で報道関係者に、ラジコンカーの高性能ぶりを披露。林部長が無線機を操作すると、「きいちゃん」が尻尾を振りながら、投てき回収ラジコンカーを操縦するかのように、すばしこく走り回った。
国体では、機械科の生徒たちが制作した操縦台(高さ約1・5メートル)の上から、同研究部員が投てき競技の流れを見て、ラジコンカーを操縦。これまでは審判員と補助員がやりや円盤、ハンマーを回収していたが、これからは審判員が、近づいたラジコンカーに乗せると、軽快に運搬してくれるので、回収作業は激減し、投てき事故の危険性もなくなるという。
林部長は「予想以上の出来栄えで、5時間走る能力があり、本番ではノートラブルで頑張りたい。きいちゃんは、可愛いので、皆さんに喜んでもらえると思う」と話していた。
写真(上)は「きいちゃん」を乗せた投てき回収ラジコンカー。写真(中)は操縦無線で自由自在に走り回る投てき回収ラジコンカー。写真(下)は投てき回収ラジコンカーと紀北工業高校・ものづくり研究部員ら。