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広島原爆忌~「戦争記事をどうぞ」~87歳阪口さん

太平洋戦争・シベリア抑留体験者で和歌山県橋本市古佐田在住の橋本地区防衛協会長・阪口繁昭(さかぐち・しげあき)さん(87)は、70回目の広島・原爆忌の8月6日、全国紙4紙(読売、朝日、毎日、産経)に掲載された原爆関連記事をスクラップブックに収集貼付するとともに、多くの犠牲者の瞑福と核兵器廃絶を祈った。阪口さんは昨年の終戦記念日(8月15日)以降、全国紙4紙の戦争関連記事をスクラップブックに収集・貼付していて「読みたい希望者にはお貸しします」と言っている。
阪口さんは太平洋戦争末期、満蒙開拓義勇軍として、旧・満州(現・中国東北部)に渡り、中ソ国境で敵の情報を探る斥候(せっこう)中、後頭部に被弾したうえ旧ソ連兵に捕まり、シベリアに抑留。鉄道建設や炭鉱など過酷な労役で、戦友は次々死亡したが、昭和22年(1947)、九死に一生を得て帰国した。
郷土ではヒロポン追放、交通安全・防犯運動、橋本駅銃撃犠牲者の供養など、あらゆるボランティア活動を実践。最近は橋本市内の小・中・高校や橋本ユネスコ協会などの依頼で、児童やお年寄りにシベリア抑留体験について講演。「落ちていた一粒のキャラメルのお陰で助かった」「戦友は〝行かないでくれ〟と今も枕元に立つ」などと証言。戦争の悲惨さ、平和の有難さを訴えている。
その阪口さんが1年前、新聞記事の切り抜きを開始。「私を含めて、戦争体験者は、少なくなるばかり。このままでは、若い人たちに戦争の真実を伝えられない。せめて戦争体験者の目で見て、大切な新聞記事はきちんと保存し、時期を見計らって公共施設などに寄贈、皆さんに読んでもらいたい。これも大切な〝語り継ぎ〟の一つ」と考えたという。
スクラップブックは、すでに5冊(約280ページ)にのぼり、「戦争ほど悲惨なものはない 戦争の記憶 伝える使命」「同じ体験 二度とさせない! 戦争を軽く考えたらあかん」などのタイトルをつけて、女性抑留者、遺骨収集、和歌山大空襲、広島原爆など、戦争関連記事約400枚を切り抜き、その日付とともに丁寧に貼付している。
阪口さんは「広島・原爆忌、そして8月9日には長崎・原爆忌を迎える。あの日、一瞬にして多くの尊い命が奪われ、人々は不幸のどん底に。日本は唯一の被爆国であり、核兵器はダメ、戦争はダメと言える唯一の国。きっとその声は、世界に届きます」と断言。「私は多くの戦友の死を無駄にしたくない。いかなる理由があるとしても、戦争だけは絶対に許せません」と語った。
▽スクラップブック貸し出し=希望者は阪口さんに直接申請する。貸し出し・閲覧は無料。阪口さん=橋本市古佐田3丁目の1。電話=0736・32・0651。
写真(上)は戦争関連記事をまとめたスクラップブックを披露する阪口さん。写真(中)は広島・原爆忌の新聞記事を読む阪口さん。写真(下)は戦争関連記事の切り抜きをする阪口さん。


更新日:2015年8月7日 金曜日 00:00

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