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「高野の花たち」(2)~町石道に一人静と二人静
花名はヒトリシズカ、フタリシズカ。
センリョウ科チヤラン属の多年草。
花言葉は、ヒトリシズカは隠された美、愛にこたえて。フタリシズカは面影。
ヒトリシズカは、町石道の樹林の下で、日が差し込み、やや湿度のある場所に自生している。10~30センチに伸びた赤紫色の茎に、楕円形の葉を4枚、輪生状につけて、その上にブラシのような白い花を1本咲かす。株は、1本単独ではなく、多くは林立か群生している。
春の林の中で、ひっそりと咲く清楚な姿から、源義経と悲運を共にした静御前になぞらえて命名された。
二人静もまた、町石道に自生し、一人静より遅く咲く。30~50センチに伸びた茎に、楕円形の葉を対性で45度ずつに4枚付ける。その上に花穂が2本出て、米粒のような白い花を付ける。花穂は1本、3本、4本、5本付くこともある。5本ともなると、静かではなかろうに…。
フタリシズカとは、能の「二人静」から、付けられた名で、吉野の勝手神社の神主から、若菜摘みを命じられた娘に、静御前の霊が乗り移り、供養を頼む。その代わりに舞を所望された娘が舞うと、一緒に静御前が舞ったという。両花とも、派手な花ではないが、静御前の名を冠していると思えば、物語を感じ、いとおしくなる花である。
写真(上)はヒトリシズカ。写真(中、下)はフタリシズカ=いずれも町石道で。(K記)
更新日:2015年4月6日 月曜日 22:15