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あぁうまい「酒」搾りたて♪~初桜酒造で酒蔵見学会

日本酒「高野山 般若湯(はんにゃとう)」を醸造する、和歌山県かつらぎ町中飯降85、初桜酒造株式会社=笠勝清人(かさかつ・きよと)社長=で、2月8日、国の登録文化財「酒蔵」の見学会が開かれた。橋本・伊都地方や近府県から約60人の日本酒ファンが訪れ、笠勝社長や但馬杜氏(たじまとうじ)から、醸造過程の説明を受け、搾りたての新酒を味わった。
同社は1866年(慶応2)、高野山麓の紀ノ川畔に創業。高野山では〝飲酒禁制〟だったが、弘法大師は「塩酒一盃(おんしゅいっぱい)これを許す」と、酒の効用を認め、山上では酒を〝般若湯〟と呼んで愛飲した。昔は馬の背に酒樽(さかだる)を乗せ、山麓から山上まで運んでいたという。
同社は、弘法大師が高野山開創の際、神領を借りた丹生都比売(にうつひめ)神社のある同町天野の、名産〝天野米〟と高野山麓の伏流水を使用。笠勝社長と但馬杜氏が純米、純米吟醸酒を造り、同地方や大阪、東京へ出荷している。
日本酒は、白米を蒸して麹(こうじ)を造り、この麹で蒸し米を糖化、酵母を培養し、酒母をつくる。これを仕込んで、もろみを仕立て,並行複発酵法(へいこうふくはっこうほう)で、高いアルコール分のもろみを造り、もろみを搾って完成させる。
この日、笠勝社長と但馬杜氏は、見学者を午前、午後の2回、各2班に分けて「酒蔵」に案内。歴史の重みを感じさせる酒蔵の中で、米と水を浸す〝浸漬場(しんせきば)〟や、米と麹(こうじ)で酒母をつくる〝酒母場(しゅぼば)〟、蒸し米を寝かせる〝麹室(こうじむろ)〟、むかし使っていた〝蒸し釜(かま)〟などを丁寧に説明した。
この後、「高野山 般若湯」と染め抜いた、紺のハッピ姿の従業員らが、搾りたての新酒をコップについで、見学者に〝利き酒〟をしてもらい、南隣の母屋では大吟醸「亀鶴」、「般若湯」、「しぼりたて生酒」、「秘蔵酒」、梅酒、ミカン酒、桃酒の順に、その出来具合を味わってもらった。
橋本市の林間田園都市から母と妻、3人の子供との計6人で酒蔵見学に訪れた男性(38)は、「昨年ここに参加した後、いろんな酒を自分の口で確かめてきましたが、私は初桜さんの、特に〝般若湯〟が大好きです」ときっぱり。奥さんは般若湯などを試みた後、桃酒に口をつけて「わあ、これおいしい」とにっこり。他の男性も昭和38年に造ったという古酒「秘蔵酒」を口に含んで、「日本酒にもこんなに古くうまい酒があるとは」と、舌鼓を打っていた。
紀ノ川上流の同地方の酒は、昔は「川上酒」と呼ばれ、大正から昭和初期にかけて、33軒の酒蔵があったが、灘・伏見が酒どころとして脚光を浴び、酒の量産が進むとともに、「川上酒」の廃業が相次ぎ、今では同社1軒のみとなっている。
酒蔵見学会は、2月15日(日)にも、午前10時からと、午後2時からの2回開かれる。2月8日現在、午前はすでに「満員御礼」で、午後(定員約30人)は、あと10人ほど参加可能という。見学無料。申し込み・問い合わせは同社(0736・22・0005)へ。
写真(上)蔵の床に寝かされた麹(こうじ)の説明を受ける見学者たち。写真(中)は〝利き酒〟を楽しむ家族連れ。写真(下)は但馬杜氏から酒蔵の説明を聴く見学者たち。


更新日:2015年2月9日 月曜日 00:00

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