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舞踊も乗馬もビリッと!若柳流師範・94歳福岡さん
88歳まで乗馬を楽しみ、94歳の今も背筋をしゃんとして、舞踊を教えている老婦人がいる。そのお方は、和歌山県高野町高野山西ケ峯の日本舞踊「若柳(わかやぎ)流」師範・福岡一二三(ふくおか・ひふみ)さん。福岡さんは、健康長寿の秘訣について、「何をするにもビリッと(気合いを入れて)すること」と、口を引き締めた。
福岡さんは、昭和25年(1950)から、日本舞踊の修業を積み、今は若柳流・師範で、芸名は吉明昌(きちあけしょう)。名高い「福岡社中」を率いている。
西ケ峰の本家とは別に、高野山内の家では、檜床(ひのきゆか)の稽古場を設け、他の師範の方々の先頭に立って、さらに研鑽を積み、山麓の橋本・伊都地方では、約34年間にわたり、日本舞踊を教えてきた。
これまで高野山では、幾度も弘法大師・空海に舞踊を奉納。平成5年(1993)、高野山に社会福祉法人聖愛会・特別養護老人ホーム「南山苑」が開設すると、毎年12月23日(天皇誕生日)には、同ホームのお年寄り約100人を前に日本舞踊を披露。「お年寄りを幸せにした」として、公益法人「小さな親切運動本部」(東京)から、「小さな親切」実行章を受けている。
また、60代から88歳にかけては、大阪府の羽曳野市や和泉市の乗馬クラブで馬術訓練。堂々と鞍(くら)にまたがり、「立って、座って」「立って、座って」というリズムに合わせ、馬との呼吸を合わせてきた。「やっぱり〝馬には乗ってみよ、人には添うてみよ〟ですね。お陰様で、馬と心が通じましたし、この通り、私は今も足腰達者です」と述懐した。
福岡さんは、稽古場の棚に、まるで図書館のように沢山の古典舞踊、新舞踊の楽曲CDを揃えていて、毎回、その楽曲を流して指導。福岡さんは、相手の前に立ち、自分が「鏡」になる。相手が右手をあげれば、こちらが左手、相手が右足を出せば、こちらは左足を出す。
ある師匠は「まるで自分が鏡の中で踊っているようで、こちらは習い易いですが、福岡先生のような、反対の動きなど、誰にでも簡単に出来るものではありません」と敬服する。福岡さんは「乗馬でも、舞踊でも、ビリッとやる。そうすれば上達もするし、健康長寿にもつながります」と、若々しい笑顔を見せていた。
写真(上)は日本舞踊「若柳流」師範・福岡一二三さん。写真(中)は乗馬訓練をする福岡さん。写真(下)は南山苑のお年寄りに舞踊を披露する福岡社中。