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逸品!「岡潔博士みやげ作品」企画展~JR橋本駅
和歌山県橋本市の名誉市民で世界的な数学者・岡潔(おか・きよし)博士(1901~78年)直筆の俳句・短歌・金言を記した木工芸品を紹介する、第1回特別企画展「岡潔博士のみやげ作品展」が、同市古佐田のJR橋本駅改札口前のショーケースで開かれている。制作者の橋本市岡潔数学WAVE役員・奥村浩章(おくむら・ひろあき)さんは「日本人の情(じょう)を最も大切にした、岡博士の思想を、ぜひ、作品から感じてほしい」と言っている。9月20日(土)まで。観賞無料。
展示されているのは、岡博士の顔のイラストや、直筆の俳句・短歌・金言などを記した額(がく)や団扇(うちわ)、風鈴短冊(ふうりんたんざく)、栞(しおり)など約40点で、南部(なんぶ)風鈴以外は高野杉を使用、奥村さん独自の特許技術で、優雅に仕上げられている。
木工作品に記された俳句は、例えば「めぐり来て梅懐かしき匂ひかな」「秋来ぬとひとり蛙を聞く夜かな」、短歌は「かす漬の海豚にビールや夏の風」など、そこには自然感や季節感があふれている。
金言は「私が初めて道徳教育を受けたのは、数え年五つの時だった。これは祖父から受けたもので、一口にいえば『ひとを先にして、自分をあとにせよ』という教育だった」と、人間にとっての大切な生き方、心がけを簡潔明瞭に説いている。
これらは、岡博士の著書「春宵十話(しゅんしょうじゅうわ)」「春風夏雨(しゅんぷうかう)」などから抜粋、岡家の承諾を得たうえで、直筆を作品に生かした。また、地元の童話作家・佐藤律子(さとう・りつこ)さん著の伝記絵本「岡潔博士ってだーれ?」も展示されている。
この橋本駅改札口前のショーケースは、橋本市観光協会がJR西日本の協力を得て、いわば「常設展」として、国の伝統的工芸品・紀州へら竿や、地場産業・高野口のパイル織物などを展示してきたが、「今後はもっと郷土自慢の品々を見てもらおう」と、今回から「特別企画展」に変更した。
奥村さんは「岡博士は数学の世界的な難問を見事解決し、文化勲章受の章者ですが、それとともに岡博士は人類の正しい生き方を説き、日本人にしか持ち合わせていない〝情の世界〟を最も評価された先哲です」と強調。「橋本駅に来られた際は、ぜひ、木工作品をご覧になり、岡博士の思想に触れてほしい」と言っている。
写真(上、中、下)は企画展「岡潔博士のみやげ作品展」。