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米軍機「監視哨ノート」展示へ~大津の婦人寄贈

第2次世界大戦中、北部第九一部隊・防空監視哨(ぼうくうかんししょう)・石橋正道(いしばし・まさみち)さん(故人)の、敵機機種の判別や、飛行速度、方向などの判断方法を記した「監視哨ノート」が、このほど和歌山県橋本市のJR橋本駅「ゆかいな図書館」=世話人・阪口繁昭(さかぐち・しげあき)さん(86)=に寄贈された。

寄贈したのは、石橋さんの姪(めい)にあたる滋賀県大津市の井上都(いのうえ・くに)さん(80)で、同図書館では8月1日(金)~同31日(日)に開く戦争文庫の際、井上さんが同図書館を訪れる同4日から、監視哨ノートのコピーを机上展示し、現物は保存することにしている。

この「監視哨ノート」は、石橋さんが井上さんら家族に宛てた葉書き12枚とともに、阪口さん方へ郵送。井上さんは、阪口さんが同図書館に戦争資料を展示、保存していることを新聞報道で知り、「伯父・正道の遺品が、皆様の目にふれたらうれしい」という手紙を添えて寄贈した。

「監視哨ノート」には、いずれも石橋さんの文字で「監視哨の目的」として、「遠距離に敵航空機ヲ発見識別シ、之に依り得タル情報ヲ迅速確実ニ指揮官ニ報告シ、以て防空隊、戦闘準備ヲ容易ナラシムルニアリ」などと書かれている。

敵機について「ボーイングB―17」「マーチンA―26」「ダグラスA―24」などの各機種名と、そのイラストを丁寧に描写。監視方法として、敵機の高低、方向、速度は、手のひらを敵機の方角にかざし、爆音を聴いて感を働かせ、即座に割り出す、としている。

また、石橋さんが、小樽市から母・なほさんに宛てた葉書きは「前略 当方は新緑の好季節です。8月末には秋風がそよふく土地ですから、夏もさほど暑くなく、いま一番いい気候です。皆様の元気を祈ります。寿郎(井上都さんの弟)、都、身体を丈夫にして、しっかり勉強して下さいね」と、限りなくやさしい情が綴られている。

阪口さんは、満蒙開拓青少年義勇軍として満州(中国東北部)に渡り、中ソ国境では石橋さんと同じように、監視哨勤務につき、ソ連の捕虜としてシベリア抑留を体験した。「ただ私は陸上の監視哨、石橋さんは航空の監視哨で、違いはありますが、こんなに綿密な監視哨ノートを見たことがありません」と驚き、「もちろんノーモア戦争でありますが、当時、懸命に任務に当たられた石橋さんには敬意を表します」と話していた。

写真(上、中)は石橋さん直筆の「監視哨ノート」の内容の一部。写真(下)は石橋さんが家族に宛てた葉書き。


更新日:2014年7月26日 土曜日 00:04

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