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世界遺産に「黒河道」を!沿道有志・会便りで発信
和歌山県橋本市賢堂の「黒河(くろこ)の会」=山本一清(やまもと・かずきよ)会長=は、市内の国の重文・利生護国寺(りしょうごこくじ)から、地元の定福寺(じょうふくじ)を経て世界遺産・高野山に至る古道「黒河道(くろこみち)」の、世界遺産追加登録を目指して、「黒河の会便り」を発行し、区民に黒河道の講演や再生事業などの情報を発信している。山本会長は「世界遺産の追加申請には、先ず、地元住民が黒河道を理解することが大切で、登録後の〝おもてなしの心〟など、観光客対応も考えなければ」と話している。
同会の説明によると、黒河道は、同市隅田町の利生護国寺~定福寺~明神ケ田和(みょうじんがたわ)~鉢伏井戸(はちぶせいど)~わらん谷~紀伊丹生川~市平(いちだいら)~太閤坂(たいこうざか)~久保~千手院谷(せんじゅいんだに)~高野山・壇上伽藍(だんじょうがらん)の約20キロの旧・高野山参詣道。
もともと高野山参詣道は「高野七口」と呼ばれる7ルートがあったが、そのうち世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に町石道(ちょういしみち=慈尊院~高野山)が登録されたものの、黒河道などは登録されていない。
県教委と関係市町教委は、「黒河道」や、女人禁制の時代、女性たちが参拝した「結界道」、南海高野線・極楽橋駅から高野山・女人堂に至る「不動坂口」、かつらぎ町の世界遺産・丹生都比売(にゅうつひめ)神社に通じる「三谷坂」の4ルートも、間違いなく「祈りの道」と判断。先ず世界遺産に登録される条件である「国の史蹟」指定に向けて、現地調査を実施、指定申請をしている。
これを受けて「黒河の会」が平成25年(2013)6月に発足。石井俊彦(いしい・としひこ)賢堂区長や生地清祥(おいじ・せいしょう)住職ら委員11人と住民有志で構成し、これまで「黒河の会便り」(A4判2ページ)を、1号から6号まで発行してきた。
1号では、平成27年の高野山開創1200年大法会や和歌山国体があり、これに合わせて登録追加申請予定であること、「ふる里の山に花を会」=山本剛敬(やまもと・たけひろ)会長=との共同で、黒河道にも花を植栽しようと計画していることなどを紹介。
2号では、「黒河道を世界遺産に」のポスターを作成し、定福寺や集会所、くにぎの郷、清水駅、喫茶店、病院などに張り出したこと、県教委の話によると、県内で20数件の追加申請希望があることなどを説明。
このほか3号~6号では、「高野七口押印帳」「黒河道 世界遺産早期登録の看板」「高野七口再生保存会の発足」などについて、カラー写真付きで紹介している。
取材・執筆者の山本会長は「黒河道とは、古くから高野参詣の人々が往来し、豊臣秀吉も通った道です。祈りの道だったことは、道沿いに立つ苔むす道祖神や石仏を見ても明らかです」と、登録の悲願達成を訴えている。
写真(上、中、下)は黒河の会発行の「黒河(くろこ)の会」便り。