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70年ぶり〝除夜の鐘〟ひびく~妙楽寺・鐘楼門

平成の修復工事が完了した和歌山県橋本市東家の真言律宗・妙楽寺の鐘楼門で、平成25年大晦日~同26年元旦、戦後初めて約70年ぶりに「除夜の鐘」が撞かれた。岩西彰真(しょうしん)住職は「初詣(はつもうで)の方々により、108つの鐘を鳴らし、百八煩悩(ぼんのう)を払いました。皆さん、いい新年でありますように」と合掌していた。
この鐘楼門は、江戸時代中期~末期の入母屋造り。本瓦葺きの屋根の東西で鯱(しゃちほこ)が反り返り、四方では鬼瓦が空をにらんで、全体は菊の御紋入り丸瓦で飾られ、天井からは梵鐘(ぼんしょう)が吊るされている。
これまでは、鐘楼門の老朽化がひどく、同寺再建再興委員会の依頼で、和歌山県指定の宮大工が、県文化財専門家の意見を聞きながら、約半年がかりで元の姿を残し、頑丈に修復した。
ここに吊るされていた梵鐘は、戦時中、やむを得ず国に供出、戦後は戻され、橋本市原田の寺院・鐘楼で撞かれてきた。約10年前には妙楽寺に〝里帰り〟したが、鐘楼門が荒廃、倒壊の危険性があったため、門の下に置かれていた。
しかし、鐘楼門の修復後は、約70年ぶりに天井に吊るされ、門内参道から、紐(ひも)を引っ張ると、滑車を通じて撞木(しゅもく)が動き、梵鐘を撞けるようにした。
大晦日には岩西住職が、鐘楼門で参詣客を迎え、訪れた夫婦や友達同士らが、26年元日午前零時を挟んで、力いっぱい紐を引っ張ると、梵鐘はいんいんと四方八方に鳴り響いた。
一方、同寺裏にある、愛宕大権現(あたごだいごんげん)・愛宕山のお堂では、岩西住職が本尊・将軍地蔵尊(しょうぐんじぞうそん)に向かって般若心経を唱えた。
境内では、地元有志でつくる「あたご会」=脇克史(わき・かつし)会長ら87人=が、初詣客を接待。ガラス灯ろうが足元を照らす石段を登ってきた善男善女らは、お堂の鈴を鳴らし、家内安全などを祈願。どんど焼きで暖まりながら、お神酒をいただき、新年の一歩を進めていた。
岩西住職は「皆様のお蔭で昨年、鐘楼門が修復され、除夜の鐘を撞くことができ、感謝しています。今年も当寺の再建再興委員会のお力をいただきながら、頑張って参ります」と話していた。
写真(上)は妙楽寺の鐘楼門で除夜の鐘を鳴らす女性たち。写真(中)は妙楽寺境内でどんど焼きに暖まる善男善女たち。写真(下)は約70年ぶりに除夜の鐘が鳴り響く妙楽寺・鐘楼門。


更新日:2014年1月1日 水曜日 02:37

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