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金剛峯寺へ〝畑ごんぼ〟初奉納~栽培復活5年の感謝
江戸時代~昭和初期の特産品「幻の畑ごんぼ」を復活させた和歌山県橋本市西畑の農事組合法人「くにぎ広場・農産物直売交流施設組合」(岡本進組合長)は、12月12日、高野山真言宗総本山・金剛峯寺=松長有慶(まつなが・ゆうけい)座主・管長=へ、収穫した新鮮な「畑ごんぼ」を初めて奉納した。
同組合の話では約5年前、昔、同市西畑・東畑の国城山中腹で栽培されていた「畑ごんぼ」の栽培を復活。オーナー制の「畑ごんぼ塾」を開いたり、「ごんぼあられ」として商品化したり。目下、「畑ごんぼ」は、消費者の間で人気上昇中。
同地域は戦国時代、豊臣秀吉の異父弟とされる秀長の統括地だったが、応其上人(おうごしょうにん)の働きで、地元9か村は高野山・興山寺(こうざんじ)領になり、地元民家では今なお同寺・法印の位牌を祀っているうえ、「畑ごんぼ」は高野山・参詣ルートの黒河道(くろこみち)沿いで栽培されてきた。同組合の素和治男(そわ・はるお)理事は「このように、高野山と畑ごんぼ栽培地は、深い関係にあり、2年後には高野山開創1200年記念大法会を控えています。そこで今回、金剛峯寺に感謝と地域発展の祈りを込めて、奉納させていただくことにしました」という。
この日午前10時、同組合や和歌山県伊都振興局、橋本市役所から計6人が、金剛峯寺・大広間に参集。添田隆昭(そえだ・りゅうしょう)宗務総長(高野山・蓮華定院住職)ら、僧4人が般若心経を唱えた後、岡本組合長から添田・宗務総長に箱入り畑ごんぼを手渡した。
添田・宗務総長が、確認のため箱を開けた瞬間、その畑ごんぼの巨大さに、僧全員が「おおっ」と驚きの声をあげ、添田・宗務総長は「昔から高野山の僧は、皆様方から食料品をいただいてきました。きょうは山の風習を思い出させていただきました」と、謝辞を述べた。
また、戦国時代、開祖・弘法大師(空海)が静かに瞑想している高野山で、豊臣秀吉が能楽を開いた際、雷鳴がとどろき、あわてて黒河道を逃げ帰ったという歴史話なども紹介した。
「畑ごんぼ」は、弘法大師が入定(にゅうじょう)している奥の院・御廟(ごびょう)に供えられることになる。
一方、12月15日午前8時からは、西畑の栽培地で、株式会社・井関農機などの協働により、本格的な畑ごんぼの収穫が行われることになっている。
素和理事は「添田・宗務総長が、高野山と畑ごんぼとのかかわりを十分理解され、私たちからの奉納を快諾してくれてうれしい。畑ごんぼ栽培の力強いパワーをいただきました」と、喜びを語った。
写真(上)は金剛峯寺・大広間で添田・宗務総長(左)に畑ごんぼを奉納する岡本組合長(右手前)と素和理事。写真(中)は長さ80センチもある畑ごんぼ。写真(下)は箱を開けてジャンボな畑ごんぼを眺める添田・宗務総長ら。