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〝木板画の年賀状〟制作へ~78歳・巽さん奮闘
棟方志功(むなかた・しこう)さんが創設した日本板画院同人の巽好彦(たつみ・よしひこ)さん(78)=和歌山県橋本市妻=は、今年も平成26年元旦の「年賀状・木板画」を制作・投函(とうかん)することにした。昭和40年(1965)から「喪中」を除いて毎年制作し、来年の年賀状は54枚目となる。巽さんは「加齢とともに、根気も体調もすぐれませんが、私の木板画に期待を寄せて下さる友人知己もいますので、制作することに決めました」と話した。
平成26年元旦の年賀状は、近所の日本建築の民家の木板画にする。この民家は、昭和15年の建造で、そう古くはないが、瓦葺きの門の両方から、小屋根が突き出し、その出入り口は、扉(とびら)ではなく、格子戸(こうしど)で出来ている。その内側に木造2階建の寄棟造りの母屋があり、門の西側には白壁の土蔵が建っている。
これまでの年賀状・木版画は、正月の縁起物や、紀州の粉河寺・山門、伊勢のおかげ横丁など、いずれも日本の原風景か、めでたい正月の静物の絵柄を彫ってきた。
今回は、昨年9月、NHK番組「ぐるっと関西おひるまえ」「あすのWA!」で、巽さんの仕事ぶりが放映された際、巽さんが木板画の対象にした近所の民家とすることにした。
「古里の民家を、木板画にすると、市民から〝昔、その民家に出入りしていた人や、行き来していた人たちの、顔が浮かんでくる〟と言われるので、感激しています」と言う。
これまで、めでたい年賀状は、なるべくカラフルにと考え、4~5色刷りにしてきたが、「今年は体調、気力とも衰えているので、3色または2色刷りの、簡素な作品に戻ります」と説明。「来年も精魂込めて、木板画制作に励みます」と話した。
写真(上)はこれまでの年賀状アルバムを披露する巽さん。写真(中)は過去の年賀状の木板画。写真(下)は昨年12月、年賀状・木板画を制作中の巽さん。