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田畑潤す、でも、危険!~児童ら〝ため池〟学ぶ

たとえ旱(ひでり)続きでも、見事に田畑をうるおす〝日本のため池〟をテーマにした和歌山県職員による出前講座「ため池再発見」が、11月27日、橋本市立隅田小学校=滝上(たきうえ)敏彦校長=で、3年生児童70人を対象にして開かれた。
講師役は農林水産部・農業農村整備課防災班の田畑和哉主査が担当し、ため池の生き物の説明は、伊都振興局農地課の阪中啓太(けいた)技師が務めた。
この日、児童らは同校体育館に集合。田畑主査が檀上スクリーンに、パソコンで池の写真やその構造図などを投影。ため池は「谷を堤(つつみ)でせき止め、流水を溜めて、必要に応じ取水口を開け、田畑に配水する。ため池は農業にとって、とても大切です」と切り出した。次に「現在のため池のほとんどは、約400年前(戦国時代)に、人々の協力で造られた」と説明。「そこにはコイやフナ、ザリガニやドジョウなどの多種多様な生き物が、住処(すみか)としている」と話した。
ところが「最近では、外来種のブラックバスや、ブルーギルが繁殖し、池の在来種のすべてを片っ端から食べている」と、その獰猛(どうもう)ぶりを紹介。「釣り上げたブラックバスなどは、在来種を守るために、他の池や川に放さないように」と注意を促した。
また、台風・豪雨により、池の堤防(道路)が決壊した現場写真を紹介して、「最近は農家の減少により、ため池の管理・改修ができず、池は壊れやすい状態になっている」と話し、「池は洪水を防ぐ役割もあるが、台風や大雨の後は、絶対に近づかないように。今は多くが改修を必要としています」と、危うい現状を話した。
さらに、池の底はすり鉢状になっている構造図を示し、「ため池に落ちると這い上がる場所が全くありません。池には保護者と一緒に行くこと。絶対に落ちてはいけません」と警鐘。田畑主査が、何度も「わかりましたか」と繰り返すたびに、児童らは「ハーイ」と元気よく返事していた。
会場にはモツゴやスジエビなどを入れたがガラス水槽を用意。児童たちは、目を丸くして観察。阪中技師から、地元の「岩倉池(いわくらいけ)」についてのクイズが出されると、児童たちは「造った人は応其上人(おうごしょうにん)」「造られた時代は約400年前」「造り方は谷をせき止めた」などと挙手で答え、それが正解とわかると「やったー」と歓声を上げていた。
同出前講座は県内全域で実施しており、今回で15校目。田畑主査は「子供たちが、この出前講座で学んだことは、ぜひ、家に持ち帰って、ため池の大切さとその現状を、家族の方々に伝えてほしい」と話していた。
写真(上、中)は、ため池の小魚を入れた水槽と、観察する隅田小学校の児童たち。写真(下)はため池の出前講座をする田畑主査と聴き入る児童たち。


更新日:2013年11月27日 水曜日 22:21

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