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いじめなくす紙芝居を制作〜橋本・全小学校へ配布
子どもたちの間から〝いじめ問題〟をなくそうと、和歌山県橋本市の〝橋本市人権教育啓発プロジェクト〟は、子どもたちの心にしみる紙芝居「みんなだいすき」を制作した。同市内の全小学校や児童館などに配り、童心を深く傷つける〝いじめの卑劣さ〟を諭してもらう。
同プロジェクトは、橋本市教委・社会教育課、同学校教育課、きしかみ子ども館の職員計6人で構成。平成23年(2011)に滋賀県大津市で起きた「いじめを苦にした中学生・自殺事件」などを受けて、子どもたちに理解されやすい紙芝居制作を企画した。
紙芝居はB4判サイズで15画面(枚)。同プロジェクトの山本晶代さん(社会教育課)が書いた原作を、スタッフ全員でさらに練り上げ、ストーリーにした。絵は、きしかみ子ども館の井端二美乃さんと村尾綾子さんの2人が、ストーリーに合わせて水彩で描いた。
紙芝居「みんなだいすき」は、小学1年生トクちゃんが、ランドセルに〝うさぎのキーホルダー〟をつけていたところ、クラスメイトに冷笑される。お母さんが「うさぎみたいに速く走れますように」と作ってくれたのに、クラスメイトは「そんなに速く走れるわけないよ」と、いやみを言うのだ。
さらに「ぴょんぴよんトクちゃん のろまのトクちゃん うさ吉ぴょんぴょん トクちゃんぴょんぴょん」と、みんなで囃(はや)す。そんなひどいいじめられ方をされて、トクちゃんが悲しんでいると、さすがにそれに気付いたクラスメイトは、トクちゃんに謝り、元の仲良しに戻るという、いわばラッキーエンドの締めくくりのいいストーリー。絵も文も簡潔で、子どもたちにもわかりやすく表現されている。
橋本市と市教委は、これまで「家庭での人権を考えよう!」「子どもの人権を考えよう!」「ことばと人権を考えよう!」「虐待と人権を考えよう!」「職場の人権を考えよう」というタイトルのパンフを制作してきたが、今回、子どもたちに直接〝いじめ問題〟を啓発するには、わかりやすい紙芝居が効果的と考えたという。
この紙芝居は計50冊を印刷。市内の小学校計15校や児童館・子ども館計4館、図書館などに配布。それぞれの場所で、時に応じて〝読み聞かせ〟をしてもらう。山本さんは「この紙芝居を通して、いじめがどんなにいけないことか、子どもたちの心に響いてほしいし、すべてのいじめがなくなってほしいです」と話した。
写真(上)はいじめ問題啓発の紙芝居「みんなだいすき」の全画面。写真(中)はいじめられて悲しむトクちゃん。写真(下)はお母さんが作ってくれた〝うさぎのキーホルダー〟をランドセルにつけたトクちゃん。