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〝紀州へら竿〟国伝統的工芸品指定~市庁舎に垂れ幕
和歌山県橋本市の紀州製竿(せいかん)組合(田中和仁組合長)の〝へら竿師〟が作っている〝紀州へら竿〟が、3月8日、国の伝統的工芸品に指定され、同日、官報告示された。橋本市(木下善之市長)は、市庁舎玄関わきに〝垂れ幕〟を掲げて祝福し、木下市長と田中組合長は「郷土の伝統産業をさらに発展させよう」と、喜びの握手を交わした。
橋本市は日本一の和竿の産地で、同組合にはプロの竿師45人が加盟。高野竹を使った和竿3000~3500本を毎年、全国に出荷し、全国シェア90パーセントを誇っている。
その歴史は、橋本市の若者たちが、大阪のへら竿師「竿正(さおしょう)」=溝口象二さん=1857年(安政4)~1922(大正11)年=から〝和竿〟の作り方を学んで帰り、その技を受け継ぎながら、今の橋本の伝統産業として発展してきた。
紀州へら竿は、竹伐りや、竹をつなぐ生地組み、竹を真っ直ぐに伸ばす火入れ、漆(うるし)塗り、穂先削り、握り部分の装飾、仕上げ塗りなど、複雑な工程を経て制作。その美しさや手触り、しなり具合の良さなどが、多くのへらぶな釣りファンから愛されている。
紀州へら竿は、昭和63年(1988)に和歌山県の伝統工芸品第1号として指定され、国から指定されたのは、紀州漆器(しっき)、紀州桐箪笥(きりだんす)に続いて県内3番目となる。これを受けて、4月には橋本市と同製竿組合の共催で「感謝祭」の開催を予定、6月上旬には、同組合が地元の隠谷池で、〝国指定記念の祭典〟を開催する予定。
国指定が決定した朝、橋本市役所玄関わきには「紀州へら竿 伝統的工芸品指定 経済産業省」と大書した〝垂れ幕〟がはためき、田中組合長は「へら竿師の先輩たちの努力や、県・市などの協力によって、念願の国指定をいただくことができました。一層精進し、へらぶな釣りファンに喜ばれるよう、素敵なへら竿作りに励みたい」と誓い、木下市長は「これを機会に、郷土の伝統産業を一層発展させ、橋本の素晴らしさを、全国の釣りファンに知っていただきたい」と語った。
写真(上)は紀州へら竿が国の伝統的工芸品に指定され喜びの握手を交わす木下・橋本市長(左)と田中組合長。写真(中)は橋本市商工観光課に飾られた紀州へら竿と喜びを語る田中組合長。写真(下)は橋本市庁舎に掲げられたへら竿・国指定の垂れ幕。。