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連載「橋本を彫る~巽好彦の世界~」その③

《真土峠の家並み》
万葉の里、真土は橋本の宝物。飛越え石の間を流れる落合川の水は、この千三百年間、同じ顔して流れている。伊勢街道も、もうひと越しで、どちらに登っても、大和が望まれ、紀の川の空が見える。この集落の千本格子の民家。その縁側は、まるで歴史街道を行きかった、往時の旅人を見ているかのような思いがする。
《学文路の天神さんの大鳥居》
橋本市内に存在する石造物の中で、紀の川渡し場跡の常夜燈の大きさと、隅田八幡神社の大鳥居の大きさと並ぶ、この学文路の天神さんの大鳥居。「今時、こんな大きなものを造るとなれば、なんぼで出来るんやろうか」と、先ず考える。信仰の心が為せるものとはいえ、寄進者の心がしのばれる。鳥居の間から望む国城山の美しさ。やっぱり古里の山に向う懐かしさなのだろうか。
《ほんまち通り商店街の老舗》
ほんまち通りの商店街。今、この通りも、昔の面影はほとんどなくなった。時の流れの早さの中に、いつまでも変わらぬこの店の顔。呼びなれた屋号。なんども気楽に話しかけられ、応えてもらえる表情(かお)が、屋号とともに生きている。商いのやり方は変わっても、やっぱりどこか受け継がれてきたものは、変わりようがない。それがこのお店の顔かも知れない。(注=平成22年、街の再開発事業で姿を消している)。
(木板画・文=日本板画院同人・巽義彦さん)
写真(上)は真土峠の家並み。写真(中)は学文路の天神さんの大鳥居。写真(下)はほんまち通り商店街の老舗。


更新日:2013年1月3日 木曜日 08:16

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