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焼き豆腐&酒で〝忘年会〟…定福寺・堂座講の行事

和歌山県橋本市賢堂の高野山真言宗・紫雲山「定福寺(じょうふくじ)」(生地清祥住職)で、12月9日、珍しい「堂座講(どうざこう)の豆腐焼き」行事が営まれた。同寺は昔の高野山・参詣「黒河道(くろこみち)」の上り口にあり、県・市の教育委員会は世界遺産・追加登録を目指している。講員の山本一清さん(80)は「歴史ある行事なので、ぜひ、次世代に継承したい」と話した。
地元の有力者でつくる〝堂座講〟は、約700年前(鎌倉期)、紀ノ川の南側流域を水田に開墾し、冨を築いた開拓者が、財産管理のため協力し、定福寺などを創建したのが始まり。豆腐焼きは堂座講主催で、毎年年末に一度、大勢の地元の人たちが集まり、営まれてきた言わば〝忘年会〟行事である。
この日、講員10人が参加。小雪がちらつく定福寺の境内で、赤々と焚き火をし、周辺では豆腐に串を刺したり、豆腐にねぎ味噌をつけたりして、炭火で一つ一つこんがりと焼き上げた。
講員らは、さっそく本堂の本尊・阿弥陀如来像に供えた後、自分たちも焚き火を囲み、焼き豆腐をふうふう吹いて、おいしくいただきながら、酒を酌み交わし、今年1年間、無事に過ごせたことに感謝した。
講員の中村邦雄さん(76)は「昔は副食の豆の余りものを使い、上手に豆腐をつくりました。この豆腐焼き行事は、昔から伝わってきた私たちの素朴な〝忘年会〟です」と説明。山本さんは「豆腐焼き行事は、堂座講の年中行事の一つです。高齢化が進む中、このままでは、やがて忘れ去られます。ここは昔、高野山参詣の入り口。定福寺の行事は、ぜひ若者たちに受け継いでもらいたいと思っています」と話した。
写真(上)は豆腐の串刺し作業をする講員。写真(中)は串刺し豆腐を炭火で焼く講員たち。写真(下)は焼き豆腐をいただく講員たち。


更新日:2012年12月10日 月曜日 21:34

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