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岡博士と中谷氏の厚い友情~高瀬准教授が講演

世界的な数学者で文化勲章受章者である和歌山県橋本市の名誉市民「岡潔」(1901~78年)についての講演会「紀見村時代の岡潔博士~人生と学問の回想~」が、このほど九州大学マス・フォア・インダストリ研究所の高瀬正仁准教授を講師に迎え、橋本市教育文化会館2階大ホールで開かれた。
これは橋本市名誉市民「岡潔」顕彰事業の一環で、橋本市岡潔数学WAVEと橋本市、同市教委が主催した。
岡博士は大阪生まれ。4歳の時に祖父の郷里・紀見村(現・橋本市)に移住。京都帝国大学で学び、「多変数函数論」などを発表。世界の数学3大難問を解いた天才。
高瀬准教授は多変数函数論や近代数学史を専攻する数学者。約1時間半の講演の中で、岡博士が留学先のフランスで知り合った考古学者・中谷治宇二郎さん(1902~1936年)との親友関係について、岡博士と中谷さんの著書や手紙などをもとに語った。
岡博士は「フランスで私の最大の経験は中谷さんと知り合ったこと」と断言し、岡博士から生活支援を受けた中谷も「生まれて三十年にして初めて真の友情と云うものを見た」と記している。
また、中谷さんは「人を相手にして学者になるのは易いが学問を相手に学者になるのは大変なことです」と書けば、後に岡博士は「数学とはどういうものかというと、自らの情緒を外に表現することによって作り出す学問芸術の一つであって、知性の文字板に、欧米人が数学と呼んでいる形式に表現するものである」と述べている。
そのうえで高瀬准教授は、「岡先生は紀見村時代、いろいろと変った言動があったが、それは要するに中谷さんが言った〝学問を相手に学問に打ち込む〟姿であって、その根底にあるのは中谷さんとの友情にほかならない」と言明した。
さらに「岡博士は晩年〝情緒〟の大切さを説いているが、それは漫然とした話ではなく、(親友・中谷さんとの出会いと友情など)リアルな経験に基づいているのです」と締めくくり、満場の客席から拍手を浴びた。
講演後、会場から「岡博士は、真我に目覚めることの大切さや、教育は昔の寺小屋方式に戻るべきだと言っておられるが」などと、所感を求められると、高瀬准教授は「岡先生も物心両面で多くの人々に支えられた。紀見村では、はちゃめちゃなことがあっても、天才性を発揮することができた。要するに〝私のようにやれ〟ということだと思う」と答えていた。
橋本市岡潔数学WAVEの理事・奥村浩章さんは「岡博士と中谷さんの友情について、わかりやすく教えていただき、改めて岡博士の重んじる情緒の大切さを感じました」と語った。
写真(上、中、下)は紀見村時代の岡潔博士~人生と学問の回想~」をテーマに講演する高瀬正仁・准教授=いずれも写真家・青木永造さん撮影。

更新日:2012年12月7日 金曜日 22:31

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