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贈〝和歌山空襲〟など戦争本23冊…語り継ぎます

太平洋戦争中、ソ連軍の捕虜としてシベリアに抑留され、九死に一生を得て帰国した和歌山県橋本市の「戦争を語り継ぐ会」会員の阪口繁昭さん(84)に対し、市民から「炎と叫喚の記録~和歌山市空襲~」(創価学会青年部反戦出版委員会・編、第三文明社発行)など戦争関係の図書計23冊が贈られた。阪口さんの反戦活動に心打たれた創価学会の人たちが、あちこちの家庭に呼びかけて収集した図書で゛、阪口さんは「いずれも戦争の惨劇を体験した人々の手記でいっぱい。反戦平和を唱えるのは、全宗教・全宗派、信徒、無信徒の垣根を超えて最重要であり、この図書を熟読して、講演に生かしたい」と喜んでいる。
贈られた図書は「戦争を知らない世代へ 和歌山編 戦場に軋む若者の心(満蒙開拓青年義勇軍の記録)」や、「中国大陸の日本兵」「私の中の戦場(大陸中国に生きて)」など、いずれも、戦場の写真入りで、戦争体験談が詳しく綴られている。
阪口さんは橋本市傷痍軍人会会長。昭和19年(1944)、満蒙開拓青少年義勇軍に入隊した直後、少年兵として中国・ソ連の国境で転戦。同18年(1945)8月、ソ連の捕虜にされた。行軍中、多くの戦友が絶命し、自分も栄養失調で倒れる寸前、道に落ちていた1粒のキャラメルを拾って食べ、奇跡的に助かったという、筆舌に及びがたい経験を持つ。
帰国後、太平洋戦争末期に米軍機によるJR南海橋本駅・空襲で、市民6人が犠牲になったことを知り、地元の丸山公園に〝追悼の碑〟を建立したり、橋本駅の「ゆかいな図書館」では〝戦争文庫〟を開いて、戦争の悲惨さを知ってもらったりするなど、反戦平和の大切さをアピールしてきた。
このほど、和歌山県教育委員会委員で童話作家の佐藤律子さんが、市内の小中学校で戦争体験を話す〝戦争を語り継ぐ会〟を発足させ、阪口さんを会員に推薦。阪口さんは9月上旬、市立信太小学校の児童らに〝橋本駅・空襲〟〝シベリア体験〟〝奇跡の生還〟について語った。
阪口さんは「寄贈された図書を読むと、満蒙開拓で現地で一緒に生活した戦友や、先輩後輩が紹介されていて、懐かしい思いでいっぱいです」と驚き、「創価学会の方々が、あちこちの友人知人に、電話をかけて、これだけの図書を集めてくれました。平和を希求するのは、宗教・宗派に関係ありません。これからも、いろんな場所で、戦争体験を話さなければならないので、しっかり読んで、ご本の中から重要なお話しは、ぜひ紹介したいと思います」と話した。
写真(上)は贈られた戦争体験談が満載の図書に大喜びの阪口さん。写真(中)は贈られた戦争関係の図書の数々。写真(下)は阪口さんの戦友が掲載されている戦争関係の図書。


更新日:2012年10月23日 火曜日 20:46

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