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石童丸・母子の歌~高野山苅萱堂に奉納…尾上さん

和歌山県高野町高野山にある特別養護老人ホーム「南山苑」(西辻政親苑長)は、このほど高野山・苅萱堂で「音楽奉納の会」を開き、高野山在住のソプラノ歌手・尾上利香さんや、同施設で音楽リハビリ指導を行っているジャズドラマーの朝倉聖さん、デイサービスの利用者の下前澄子さんら約20人が、石童丸・父子の歌や楽器演奏を奉納した。
朝倉さんが指揮し、フィリピン出身で同施設職員の大前ヘラさんと下前さんがリードボーカル役を務め、施設の利用者らが大小の太鼓、シンバル、マラカス、鈴などを伴奏。尾上さんが参加者とともに〝南山苑歌〟〝空海〟〝みかんの花咲く丘〟などを合唱した。
続いて、尾上さんが、山や海に思いを馳せて、「あざみの歌」などを歌った後、苅萱堂の絵本「石童丸」を開いて見せ、高野山麓の橋本市在住の岩橋哲也さんが作詞、長女の音楽家・中西哉子さんが作曲した、石童丸と母・千里の哀話「千里親子旅(ちさとおやこたび)」を、声高らかに歌い上げた。
「千里親子旅」は、♪花のつぼみの盃に 落ちて始まるこの運命(さだめ) 共に暮らした筑紫野の 想い切々今いずこ 千里親子の物語 君をさがして旅に出る あゝあゝ千里親子の物語 あゝあゝ千里親子の物語
♪石童丸と母千里 辿り着いたるこの宿で 山の掟(おきて)を知ることに 高野めざしてただ一人 石童丸は父探す 寺寺廻り尋ねるも あゝあゝ今道心は探し得ず あゝあゝ今道心は探し得ず
♪無明の橋で逢いし僧 もしや父かと尋ねしが もはや儚(はかな)くなりしとか 学文路の宿に戻りなば すでに千里も死出の旅 再び山の僧求め あゝあゝ親子名乗らず修行せり あゝあゝ親子名乗らず修行せり あゝあゝ千里親子の物語」と、いわば演歌調の詞で綴られている。
尾上さんが、人々の魂を揺さぶるように歌い、ソプラノが高野山の自然や塔頭寺院に響きわたると、集まった大勢の観光客らが大拍手し、表を往来するバスの乗客も、盛んに手を振っていた。
山麓の学文路・苅萱堂の元保存会長・岩橋さんは「高野山・苅萱堂に〝千里親子旅〟を奉納していただいて、こんなにうれしいことはありません」と感激。尾上さんは「この世の中で、人を〝愛する〟ことや〝信じる〟ことは、時空を超えて大切だと感じます」と、石童丸親子の歌を奉納できたことを喜んでいた。
写真(上)は高野山・苅萱堂前で「千里親子旅」を歌う尾上さん。写真(中)は高野山・苅萱堂で開かれた「音楽奉納の会」。写真(下)は高野山・苅萱堂の前にある千里の墓碑で毎日のように祈りを捧げている尾上さん。


更新日:2012年9月22日 土曜日 08:35

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