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温泉&飲食業「野半の里」閉鎖…残念がるファン

天然温泉&飲食店として、関西では名高い和歌山県かつらぎ町佐野702の5、株式会社「野半の里」(中神住春社長)は、破産申請準備のため閉鎖したが、閉鎖を知らない顧客が県内外から次々訪れ、残念がっている。和歌山県伊都振興局や、かつらぎ町観光協会では、ホームページから「野半の里」の紹介部分を削除するなどの措置をとり、「今は閉鎖されているので、お間違いのないように」と呼びかけている。
野半の里は、寛政元年(1789)創業の老舗酒造メーカー。平成8年(1996)に県内初の地ビール製造を始め、古い酒蔵を活用して、飲食を楽しめるようにし、さらに温泉掘削に成功して「蔵乃湯 老鶴館」を開設した。
平成16年(2004)には、南に聳える高野山や、地元の丹生都比売神社などが、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録される一方、〝四郷の串柿〟をはじめ、柿や桃、ブドウなどの観光農園も盛んになり、京奈和自動車道の五條市(奈良県)~かつらぎ町間が部分開通するなど、観光立地条件が整ってきた。同時に野半の里も順調そうに見えた。
ところが8月26日、野半の里入り口には、予想外の「閉鎖」を告知する文面が張り出された。「各位 謹告 当社は皆さまのご支援、ご協力及びご愛顧のもと、酒造業、公衆浴場及び飲食業等の事業を続けて参りましたが、資金繰りが続かず、事業を閉鎖し、破産手続開始の申し立てを行うこととなりました。債権者及び関係者の皆様には、多大なご迷惑をおかけ致しますことを、お詫び申し上げます(以下略)。代表取締役 中神住春」と記されていた。
先ず、驚いたのは地元の人たち。「最近、飲食関係の客入りは、いま一つだったが、温泉の入浴客は多かったと思う。新たに温泉掘削も試みていたのに、いったいどうして」と、いかにも残念そう。
また、大阪や奈良方面からは、閉鎖を知らないで訪れる家族連れや若いグループも多く、「せっかく来たのに…。とてもよく温もる温泉なので、利用させてもらっていた。誰か経済力のある方がいたら、温泉だけでもいいから、続けてもらえないものか」などと、口々に話し合っていた。
閉鎖を知らない人たちに〝ムダ足〟を踏ませないようにと、和歌山県伊都振興局では、玄関に並べている観光パンフレットをチェックし、かつらぎ町観光協会でも、ホームページから「野半の里」部分を削除。「観光客に迷惑のかからないように努めます」と話していた。
写真(上)は閉鎖した「野半の里」。写真(中)は野半の里入り口に張り出された閉鎖告知文。写真(下)はもさらに温泉掘削中だった野半の里。


更新日:2012年8月31日 金曜日 09:10

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