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娘・於駒が父・応其上人を語る~生徒に芝居上演

和歌山県橋本市の今日の繁栄を築いた、安土桃山時代の高僧・応其上人(おうご・しょうにん=1537~1608)を題材にした芝居「木食(もくじき)応其物語」が、2月15日、同市古佐田4丁目10の1の県立橋本高校・古佐田丘中学校の体育館で開かれた。北浦健司校長は「きょうは436人の生徒たちが、応其上人の遺徳を芝居で学び、しっかり心に刻んでくれたと思います」と喜んでいた。
橋本市中心市街地まちづくり協議会が主催、橋本市歴史資料保存会が共催。劇団「五穀邦楽(ごこくほうらく)」(やすきひろこ主宰=大阪市)が公演。同高校2年生197人、同中学校の全校生239人と、地元の人たち約60人が見学した。
応其上人は近江国(滋賀県)の武家出身で、7歳の娘・於駒(おこま)を残して高野山に出家。豊臣秀吉の紀州攻めから高野山を救ったうえ、高野山麓の紀ノ川に橋を架け、秀吉の許諾を得て塩市を開いたことから、高野山の参詣者が往来、舟運が栄え、商都・宿場町として発展した。また、山麓一帯では、農業用のため池を築造・補修し、農業にも大きく貢献している。
やすきさんは〝応其上人没後400年〟を迎えた2008年、応其上人の関係資料を展示していた橋本まちかど博物館を訪れた際、上人の生き方に魅かれ、「上人を芝居にしよう」と決心、脚本を書き上げた。ストーリーは、於駒の目から見た上人…、於駒が上人について語る…という〝語り〟中心の創作芝居に仕立てた。
この日、於駒役のやすきさんが「いろんな先人の働きがあって、皆さんの今日があります。これから演じる応其上人は実際に存在した歴史上の人物です」と切り出し、早速、於駒が父・応其上人との別離、戦国時代に世の安寧(あんねい)を求めた上人の遺徳、高野山や山麓・橋本を舞台にした上人の様々な活躍について、配役5人が約40分間の芝居を演じた。
事前に上人の遺徳について学習していた生徒たちは、舞台に繰り広げられる物語に、改めて郷土を築いた応其上人の生きざまを噛みしめ、大きな拍手を送った。同中学校の西口正純教頭は「これから国際化が進みますが、海外では語学が出来るだけではだめで、話す中身が大切です。とくに地域の歴史をよく知り、話せることが大切で、きようはいい勉強になったと思います」と締めくくった。
同協議会会長職務代理・谷口善志郎さんは「この芝居は、初回に応其上人を祀る応其寺、2回目は地元の東家コミュニティーセンターで開き、きょうは3回目です。次世代に上人の遺徳を伝えることも大切ですが、生徒と大人の交流も大事です。これからも芝居の上演は続けたいと思います」と話した。
写真は、いずれも「木食応其物語」を演じる〝劇団「五穀邦楽〟の皆さん(水色の着物姿の女性が主役の於駒=やすきさん)。


更新日:2012年2月15日 水曜日 23:13

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