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〝日曜大工〟楽し半世紀~西川さん地車やコマ作り
和歌山県橋本市妻に〝日曜大工の天才〟が住んでいる。大阪市の元郵便局員・西川秀雄さん(71)で、日曜大工歴はすでに半世紀、今なお、黙々と玩具作りや、知り合いの家の修繕などに打ち込んでいる。
西川さんは小学校時代から、工作が大好きで、ブリキで〝ポンポン蒸気船〟を作ったいい思い出がある。船内のロウソクに火をつけると、火にあぶられた薄い鉄板が、ポンポンという音を発しながら、伸びたり、縮んだりする。その力で舟底のパイプから空気が吐き出され、力強く水を蹴って進む。大桶の中を、颯爽と走る姿は、まるで夢のようだった。
郵便局に勤めていた20歳のころには、プロも顔負けの本箱を作った。当時、1か月分の給料6000円で、ヒノキ材を購入。非番の日に設計図を描き、ヒノキ材に60個もの穴をあけ、ガラス入り両開き扉で、内部3段の本箱を完成させた。その本箱は、今も座敷から見える部屋の一等席にある。
これまで作った作品は、地車(だんじり)や飛行機、汽車、自動車などの置きもの、輪ゴム10連発鉄砲や約3分回り続けるコマ、四角い筆立てなど、数えたらきりがないほど。自宅の軒下には、自作の電気鉋(かんな)や電機ドリルなどを置き、天気のいい日は、表の椅子に座り、ただひたすら物作りに心血をそそぐ。雨が降ると、室内での作業に切りかえるが、一日も休んだことはないという。
また、親類や知り合いの人たちが、家や家具調度品の具合が悪いのでと、修繕を頼まれると、「よっしゃ、わかった」と飛んでいき、丁寧に修理して帰ってくる。もちろんボランティアだが、「いつか御礼に、ビールを何箱ももらっい、天井付近まで積み上げた時は、驚きましたねえ。でも、不思議、結局、全部飲んでしまいましたよ」と明るく笑う。
作った玩具類は、すべて親類や知り合いにプレゼントする。「今は小学校に通う2人の孫たちが、我が家へやってきて、私が作ったおもちゃで、はしゃぎまわっている時、とてもうれしくなります」と話し、「定年後、約10年になるが、日曜大工が好きなので、退屈したことはありません」と楽しそうに話した。