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〝水戸黄門の杖〟作ろう~「軽くて丈夫」実技講習
諸国漫遊の旅の水戸黄門や、俳聖とうたわれた松尾芭蕉、子供たちに慕われた良寛和尚らが使ったとされる「アカザ(藜)の杖(つえ)」を作る講習会が9月18日、和歌山県橋本市三石台4の2の1、紀見北地区公民館2階研修室で開かれる。講師役の山本良和さん(橋本市中央公民館長)は「アカザの杖は、実に軽くて丈夫。でも、簡単に作れますよ」と参加をすすめている。材料のアカザは山本さんが提供し、参加は無料。
アカザはアカザ科の植物で荒地などに自生。夏に草丈が1・5メートルに成長する1年草。アカザの杖は昔から〝長寿の杖〟〝仙人の杖〟ともいわれ、愛用されてきた。
山本さんは約10年前、岩手県の老人会の人たちが、アカザの杖を作って販売していることを知り、自分が耕作している畑300平方メートルに、市内どこにでも自生しているアカザを採取して植栽。真っ直ぐに伸びるアカザは、全体の3分の1程度で、あとは使い物にならないが、杖を自分で作ってみると、意外に簡単に作れることがわかった。
そこで、「アカザの杖を郷土に広め、お年よりらに喜んでもらおう」と、市民を対象に講習会を開催。今回で5回目になる。
「アカザの杖作り講習会」は午後1時半に開始。山本さんが自分の畑で丹精込めて育て、長さ1・5メートルに切りそろえたアカザと、道具として使う竹箆(たけべら)を準備。参加者はそれぞれ1本ずつアカザをもらい、その皮を竹箆(たけべら)で剥(は)がした後、掌(てのひら)でしごいて滑らかにする。
当日の作業はこれだけで、この未完成の杖は、紀見北地区公民館で約1ヶ月間、陰干しすると、ぎゅっと引き締まり、丈夫になる。参加者らは、これを紙やすりなどで磨き上げて完成させる。杖の肌は白いが、カビ防止にニスを塗る人、色づけする人、さまざまだという。
これまでの参加者は、40代~70代の男女で、中には子供たちもまじる。「自分で持ちたいから」「祖父母にプレゼントしたいから」など、目的に違いはあるが、黄門ちゃまや良寛さまが使った杖を、どうしても作りたいという好奇心は皆同じ。中には、死出の旅に自作の杖を持って行った人は、5人もいるという。山本さんは「気軽に来て下さい」と言っている。
定員は15人(先着順)。申し込みは、9月11日までに、紀見北地区公民館(0736・33・2867)へ。