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〝一滴の水〟堀江さん北海道で個展~風景など25点
「一滴の水」をテーマに制作を続けている和歌山県橋本市隅田町垂井の画家・堀江壽碩(じゅせき=本名・頴市)さん(76)の「水彩画作品展」が、9月6日、住居&アトリエのある北海道京極町の生涯学習センター「湧学館(ゆうがくかん)」で始まった。30日まで。入場無料。
京極町教育委員会が企画、主催した。堀江さんは、すでに日本名水100選の水が湧き出す、同町の羊蹄山(ようていざん)周辺の水彩画の個展を東京、大阪、和歌山で開いてきたが、北海道では初めてで、「改めて命の根源の水を感じてもらえれば」と言っている。
堀江さんは少年の頃、文芸・同人誌に「人は水滴として生まれ大海(社会)に出る」という随筆を寄稿した。それ以来「水を命の根源」ととらえ、1989年から「一滴の水」を主題に制作。個展は今回で17回目を数える。
作品は、羊蹄山の伏流水が湧き出す「ふきだし公園」の水辺や、尻別岳(しりべつだけ)、ニセコ連峰、バラや牡丹、トマトやいちぢくなど4号~20号作品計25点を展示。ふきだしの水の風景は、木々と水と人が繊細に表わされ、尻別岳は裾野に広がる川に奥行きがあり、花も果実も、命の水をはらんで瑞々しく描かれている。
堀江さんは2005年夏、「母なる羊蹄山と、ふきだす名水があり、良い水ある所、善い人あり。水は万物の全生命。羊蹄山と名水こそ、生涯を託す処」として、羊蹄山の麓(ふもと)にアトリエをつくり移住。毎年3分の2を北海道で暮らし、水の神秘の世界を追い求めている。
堀江さんは「羊蹄山に降る雪、降る雨、そのすべてが地下水になり、80年も後に噴き出してくる。水温は年中6・5度で軟水。飲んでも、コーヒーをたてても、料理を作っても、すべておいしい。命の水をいただきながら、しっかり絵を描いていれば、だんだん謙虚になれるようです」と話した。