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ユーモラス〝薪狂言〟に爆笑~葛城神社250人
和歌山県橋本市の狂言愛好家グループ「橋本狂言会」(後藤光基会長)は、8月28日夜、同市柱本の葛城神社で〝薪(たきぎ)狂言〟を上演し、約250人の観衆を魅了した。後藤会長は「この残暑を、笑いで吹っ飛ばしてくれて、本望です」と話した。
同神社は、紀見峠脇の杉木立の中の、神さびた古い社。夕立がやんだ後、先ず、後藤会長が「能狂言は室町時代(約650年前)に生まれた芸能です。能は公家、武士が愛した悲劇なのに対し、狂言は庶民が愛した風刺・喜劇。心の底から笑って下されは幸いです」と挨拶。
地元の大原一志区長も「当神社は662年前に戦火で焼失しましたが、この森は当時のままの木々が育っています。私たちの宝、当神社での上演に感謝します。きょうは狂言を夏のいい思い出にしてください…」と述べた。
この後、境内に特設された舞台で、篝火(かがりび)明かりと、蜩(ひぐらし)や秋の虫がすだく中、〝アマチュア・狂言〟が開幕した。
演目「盆山」は主人・島里美さん、盗人・岸田和美さん、「口真似」は太郎冠者・植村和明さん、主人・後藤光基さん、客・前田直哉さん、「清水」は太郎冠者・堀内清澄さん、主人・脇田清司さんが出演。それぞれ、大きな声のセリフや、ユーモラスな動作で演じられると、観衆は何度も爆笑した。
また、途中で演奏曲「異聞道成寺縁起」を、尺八・辻本公平さん、箏・菊譽祗慶子さん、十七絃・山田裕子さん、ソプラノ・大野憲子さんが友情出演し、安珍清姫の物語を語るように歌い上げると、大きな拍手が起きていた。
同会は21年前に発足し、各地で狂言を上演。神社・仏閣では今回が7回目になる。後藤会長は「皆さんが笑ってくれると、私たちもうれしくなるし、〝笑う門には福来る〟です。それが一番大切だと思っています」と話した。