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平和祈り梵鐘突く~終戦記念日、橋本ユネスコ協会
戦争のない平和な世界を目指す和歌山県橋本市の橋本ユネスコ協会(会長=北村翼・同市元市長)主催の恒例行事「第22回平和の鐘を鳴らそう」が、終戦記念日の8月15日、同市市脇の相賀大神社(杉本二矗宮司)で開かれた。
同協会が1990年から始め、毎年、終戦記念日に開催。鐘楼のある市内の神社仏閣をめぐり、参加者の「鐘突き」と戦争体験者の「講話」を続けてきた。
相賀大神社は、祭神に「天照大神(あまてらすおおみかみ)」「伊都邪那岐(いざなぎ)神」「伊邪那美(いざなみ)神」の三神を祭り、境内南東隅の鐘楼にかかる梵鐘は、江戸時代の名鐘で市文化財に指定されている。
この日、木下善之市長や童話作家の佐藤律子さんはじめ、ふだんから平和、文化活動をしている市民ら約40人が参加。一人ひとり、平和への祈りを込めて、一度ずつ鐘を突くと、鐘の音がいんいんと紀ノ川流域のまちまちへ響いた。
この後、橋本市傷痍軍人会会長・阪口繁昭さん(83)(同市古佐田)が、戦争体験を講話。阪口さんは、満蒙開拓青少年義勇隊に入隊した後、中国・ソ連の国境で転戦。頭に被弾して耳が不自由になった。1945年8月22日、ソ連の飛行船が〝荒城の月〟の曲を流しながら、投降を迫り、捕虜にされた。
シベリア抑留で約370キロも連行され、栄養失調と疲労で、戦友が倒れていく中、自分も、もうだめかと思ったとき、草むらに落ちていた1粒のキャラメルを拾って食べ、口中の甘さとともに、前身が熱くなり、力がわいてきて、助かった。九死に一生を得て帰国できたが、「おい、連れて行ってくれ」といった戦友のことが、今も忘れられないと語った。
参加者らは、阪口さんの話の内容と、臨場感のある説明に、「とても感動しました」と述べ、北村会長は「私も北東軍に回され、ほんの2ヵ月間、戦車攻撃の訓練をうけましたが、阪口さんは、生死を超えた、すさまじい体験の持ち主。決して戦争は繰り返してはいけないことを、改めて心に誓いました」と話した。