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中藤「しらせ」艦長が手紙~南極の氷で児童らに

    中藤艦長からの手紙・写真を見る宮井校長
    中藤艦長からの手紙・写真を見る宮井校長
    中藤艦長からの手紙・写真を見る宮井校長
    児童の文集を受け取った中藤艦長
    松下教諭から中藤艦長の手紙の説明を受ける児童たち
    松下教諭から中藤艦長の手紙の説明を受ける児童たち

和歌山県橋本市恋野、市立恋野小学校(宮井利明校長)5年生児童が、〝南極の氷〟をプレゼントしてくれた海上自衛隊の南極地域観測・砕氷艦「しらせ」の中藤琢雄艦長(1等海佐)に、礼状や学年便り(質問)の「文集」を送ったところ、中藤艦長から丁寧な礼状と、児童一人ひとりに対する回答、中藤艦長やペンギンなどの写真が、航空便で送られてきた。担任の松下正人教諭は7月14日、礼状と回答を児童に渡して説明し、児童らは「艦長さんから手紙がきた」「南極ってすてき」などと大喜びだった。
児童らは5月10日、講堂に届いた約1キロの南極の氷に触れたり、耳を近づけたりして、遥か彼方の南極を肌で感じた。宮井校長は、礼状とともに、その時の模様を載せた学年便りなどを同封し、自衛隊和歌山地方本部橋本地域事務所を通じて、中藤艦長に送っていた。
中藤艦長の礼状は、「たくさんの子供たちから、心温まる文集や、学年便りなどを頂き、誠にありがとうございました。艦内でも乗組員全員で読ませていただきました。今回頂いた文集などから、『しらせ』の持ち帰った氷が、子供たちの科学に対する興味を育む一助になっていることが理解でき、我々としてもたいへん感激いたしております。子供たちの質問に対するお答えと南極の写真を同封いたします(一部省略)」と綴っていた。
また、中藤艦長は「南極の氷はいかがでしたか。文集を読んで、皆さんが、すごく喜んでくれたことがよくわかりました。そんな皆さんの気持ちが私たち乗員にとって大きな励みになっています。これからも勉強と遊びに頑張ってください。そしていつか皆さんが南極に行ける日がくることを願っています。文章の中にいろいろな質問がありましたので、お答えいたします」と前置きし、児童1人ひとりに、次のように書いている。
▽「まるであめがはじけるようなおと」という描写は、美しい表現ですね。きっとやさしい子なんだろうなと感じました。これからも普段の生活の中から美しさを感じられる感受性豊かな人になってください」
▽ 海上自衛隊の船が南極まで行っているなんて知らなかったようですね。大人になったら南極へ行って見ませんか。氷と雪の世界ですが、その美しさは言葉にできないものがあります。
▽ 「南極の氷は食べても良い氷ですか」という質問ですね。実は、皆さんの家で作る氷よりきっときれいなはずです。なぜかというと、その氷は何万年も前に降り積もった雪が固くなったものだからです。何万年も前ということは、地球には水や大気を汚すような工場はまったくなかったからです。ですから食べても問題ありませんよ。南極の大陸に降った雪にかき氷のシロップをかけて食べている「しらせ」乗員もいるんですよ。おもしろいでしよう。南極の大気は地球上で一番きれいな空気ですから、降ってる雪もきれいです。なぜ南極の空気がきれいなのか、こんど調べてみてください。
▽ 南極の氷はどうでしたか。南極に興味を持ってくれましたか。皆さんが南極や北極、そして地球環境全体に興味を持ってくれるきっかけになってくれればいいと思います。
▽ 「1度だけでも南極に行ってみたいです」と言わずに、何度でも言ってみてください。観測隊やしらせ乗組員のなかには10回以上も南極に行っている人がいますよ。夢を持つことは、本当に大切なことだと思います。そして、夢に向って少しずつでも努力すれば、それはきっとかなうはずです。
▽ 「南極では1年にどれくらい雪が降りますか」という質問ですが、実は南極は非常に乾燥した空気におおわれています。ですから雪はほとんど降りません。大陸の中心部では、1年間でも数センチです。昭和基地のある沿岸部でも、年間数十センチです。でも風が強く吹くことが多いので、降った雪が飛ばされて、吹きだまりになるところは数メートルも積もってしまいます。南極へ行った回数は、前回で7回目になります。今年もう1回行くことになります。南極に行く人の数は私も含めてしらせ乗組員が179名、それと80名近くの観測隊員が一緒に行きます。観測隊員のうち30名くらいが昭和基地に残って越冬します。
▽ 「艦長さんは、日本を選びますか、それとも南極を選びますか」という質問ですが、ちょっと意味がわかりません。「住むならば日本か南極か」というような質問でしたら、やっぱり「日本」と答えます。南極はペンギンやアザラシのように南極の環境に適応して進化した動物であれば快適でしょうが、人間にとっては過酷な環境だからです。野菜やお米だって作れませんからね。
▽ 「氷が゜とけないようにどうやってほかんするんですか」という質問ですが、これはずばり冷凍庫に保管して日本まで持って帰って来ます。きみの家の冷凍庫は台所にあると思いますが、「しらせ」の冷凍庫は部屋自体が冷凍庫になっています。そうですね、皆さんの教室の4分の1ぐらいの冷凍庫がいくつかあります。「海ぞくにおそわれた時や、なにかあったらのために、ぶきやそうびをしているんですか」という質問ですが、小銃、拳銃、散弾銃、機関銃などを持っています。幸いにも海賊におそわれたことはありません。「自衛隊にはだいたい何人ぐらいの人が働いているんですか」という質問ですが、陸海空自衛隊全体では約225万人、海上自衛隊は約4万5千人くらいです。しらせには179名の海上自衛官が乗り組んでいます。
▽ 大人になったら南極に行って研究したいようですね。観測隊員として南極に行くためには、たくさん勉強して、まずは研究者になってください。生物、気象、海洋、雪氷、宇宙など、様々な分野があるので、今のうちにしっかり勉強しておくことが何より大切です。夢を実現するには努力が必要ですが、そのために苦しいことがあっても、楽しいものになるはずです。残念ながら、きみが大人になって研究者になる頃には、私は年をとりすぎて、自衛隊も退職しているでしょう。ですから、一緒に南極へ行くことはできません。ぜひともその夢が実現するように祈っています。
▽ 南極の写真などを見ましたか。きみかこれからも南極に興味を持ち続けてくれることをお願いしたいと思います。地球の環境に常に関心を持つこと、これが地球環境を守ることにつながります。
松下教諭は道徳の時間に▽児童から届いた文集に喜ぶ中藤艦長▽航空撮影の「しらせ」▽南極で群れなすペンギンの3枚の写真(カラー)を教室に掲示。心のこもった中藤艦長の手紙を読み上げると、児童らは「やっぱり南極へ行きたくなった」「直接、返事を書いてくれたので、とてもうれしい」などと、感想を述べていた。
宮井校長は「お礼状と、文集をお送りしたので、お手紙は届くかもしれないと思っていましたが、まさか、児童1人ひとりに、丁寧な回答を寄せてくださるとは…。このことは、子どもたちの将来にとっても貴重であり、感謝しています」と話した。


更新日:2011年7月14日 木曜日 16:55

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