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玉川峡にカキツバタ咲く~ごみ回収後の川原
和歌山県橋本市彦谷の通称「玉川峡」(紀伊丹生川)の川原に溜まった大量のごみを取り除くと、そこに約100本の黄色いカキツバタが咲き、これまでとはうって変わった美しい光景を見せ始めた。県とともに清掃に汗を流した玉川漁業協同組合の上西進組合長は「ここをカキツバタなどの花畑にして、ごみを不法投棄する人たちの心を戒めたい」と話した。
玉川峡は起伏に富んだ関西でも名高いアユ、アマゴ釣りの本場だが、同市彦谷の浅瀬ノ瀬(あせのせ)の川原に、上流で不法投棄された大量のごみが堆積した。4月下旬~5月上旬、県伊都振興局と同漁協組員らが清掃作戦に取り組んだ結果、廃材やビニール袋などのごみの量は、2トン車116台分にのぼり、うち3車分は、消毒液ボトルやカン、ビン類などだった。大量のごみを除去した後は、これまで隠れていた高さ約2・5メートル、直径約3メートルの大岩まで、丸見えになり、約1000平方メートルの川原が広々とひらけた。
さらに、その時は気づかなかったものの、川を見回り中の上西組合長が、最近、同川原にカキツバタが群生し、黄色い花を咲かせているのを発見。川原に降りて調べたところ、約100本のカキツバタが咲き競い、まだ数10本がこれから花を咲かせようとしていた。また、周辺にはミョウガやワサビが青々と育ちつつあった。上西さんは、大量のごみに埋もれていた川原と、ごみを除去した後の川原の風景、袋に回収したごみを「証拠」としてカメラで撮影、将来に生かすことにした。
上西さんの話では、同川のごみ回収は、約5年ぶりで、これまで橋本市と高野、九度山両町に依頼、流域からごみを不法投棄しないよう啓発してきたが、なかなかごみは減らない。「川を愛する人たちに、気持ちよくアユ、アマゴ釣り、キャンプなどを楽しんでいただきたい。そのためには、まず、玉川峡の清流を守ることが一番大切です。今後、カキツバタを咲かせ、ワサビを作れば、わかってもらえるかもしれない」と話した。