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鯉は復活ジャコ蒸発?橋本川澄んできたが…
大規模な住宅開発で水が濁り、ほとんど川魚が姿を消していた和歌山県橋本市の橋本川で、下排水処理施設の整備が進むにつれて、最近、真鯉(まごい)の群れが見られるようになり、地元の人たちは「川がよみがえってきた」と喜んでいる。ただ、せっかく姿を見せ始めていた無数のジャコ(ハス)が、今年は、全く見当たらなくなり、「いったい誰がさらっていったのか」と、残念がっている。
宅地造成工事は20~30年前、市北部の丘陵地帯で大々的に行われ、大阪の会社、官公庁、学校に通勤通学する人たちが住む、巨大ベッドタウンが次々と誕生した。橋本川はそのベッドタウンを経由して、JR南海橋本駅の西約500メートル付近を通り、紀ノ川に注いでいる。
10数年前から行われた川の拡幅工事はすでに完了。古東橋や松ヶ枝橋の架け替えも済み、現在、国道24号の御殿橋を建設中。地元住民の話によると、住宅開発が行われる前は、古東橋上流付近で、真鯉が泳ぎ、ジャコも無数にいた。昔は、子どもたちが真鯉の泳ぐ姿に目を輝かせたり、サバムシをえさにジャコ釣りを楽しんだりしていた。
ところが、住宅開発が進むと、雨の後の川は赤土の色に濁ったうえ、洗剤などの家庭排水が激増するのに伴って、真鯉もジャコもすっかり姿を消してした。それでも、橋本・伊都地方の、広域下水処理事業が進み、川の拡幅工事も終わると、最近は、体長約50センチの真鯉の群れが、気持ちよさそうに泳ぎ回り、ジャコも湧くように増えてきていた。
しかし、今年は、真鯉の姿は見られるものの、なぜかジャコは皆無といっていい状態。住民らは「アユやカニなら仕方ないにしても、ジャコのようなものを、誰がさらっていくのか」と口惜(くや)しがり、「橋本川の自然は、地域住民が見守らなければ」と言っている。