特集

山口の消印…匿名・寄贈本続く~橋本駅・図書館

山口県宇部、小郡両市の消印のある匿名・郵便で、2010年4月から、和歌山県橋本市のJR橋本駅構内の〝ゆかいな図書館〟=世話人・阪口繁昭さん(84)=に、「ぜひ利用してください」と図書が寄贈され、2月11日現在、この寄贈・郵便物は63回を数え、図書は計約150冊にのぼっている。阪口さんは「匿名なので礼状を出せません。高野山麓・橋本新聞を通じて、心からお礼を申し上げます。図書は大切に活用させていただいています」と話した。
「ゆかいな図書館」は、1998年9月、同駅の待合室を改造してオープン。橋本市教委が、それまで、非行の温床となっていた待合室を「図書館にしては」と発案。非行防止運動や駅前の清掃奉仕に働いていた阪口さんが、JR側に懇願して、全国でも珍しい「駅構内の民営図書館」が実現した。
本の持ち帰りと、返却を自由にしたため、図書は減っていく一方だが、全国の人々の寄贈本で補充してきた。昨年3月には、駅のバリアフリー化工事完成に伴い、図書館は改札口外側の通路わきに移設・新装オープンし、窓明かりの小部屋で、座席(6人)がある。小説や詩など、主に文庫本、単行本約1500冊を本棚に並べている。
 匿名の「善意の主」から届いた〝ゆうメール封筒〟は、阪口さんが、一枚一枚、アルバムに貼って、大切に保存。それによると、郵便の消印は、2010年4月1日付けの「山口・宇部」(山口県宇部市)から、今年2月6日付けの「山口・小郡」(同県小郡市)の2つだけで、届いた封筒は計63袋、切手は1封筒あたり340円、本は1封筒に2~3冊入っていた。いずれも、水性ペンで書いた丁寧な文字で、「とくめい」としていた。
今回届いたのは「姓名の暗号」(樹門幸宰さん著)、「60歳のラブレター」(NHK出版編)、「神をさがす旅」(山川健一さん著)の3冊。で、阪口さんは「ありがとう」「ありがとう」とつぶやきながら、〝ゆうメール封筒〟をアルバムに貼り付け、「このような方がおられるので、〝ゆかいな図書館〟を運営することができています」と感謝していた。
写真(上)は〝ゆうメール封筒〟をアルバムに貼る阪口さん。写真(中)はアルバムに貼ったゆうメールと匿名の寄贈本。写真(下)はJR橋本駅の「ゆかいな図書館」。


更新日:2012年2月12日 日曜日 09:23

関連記事

ページの先頭に戻る

  • 標準
  • 大
  • RSS
  • サイトマップ

検索

過去の記事