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平清盛奉納の血曼荼羅!高野山霊宝館で約40点公開

平清盛が高野山に奉納したと伝わる〝血曼荼羅(ちまんだら)〟などを紹介する第38回高野山大宝蔵展「高野山の名宝~平家物語の時代と高野山~」が、和歌山県高野町の高野山霊宝館=山口文章(やまぐち・ぶんしょう)館長=で開かれている。担当の宮地忠大(みやじ・ちゅうだい)学芸員は「貴重な文化財を通じて、往時の歴史を感じてください」と言っている。12月3日(日)まで。会期中無休。
高野山は平家物語とも関わりがあり、例えば「平清盛が高野山で弘法大師・空海(入定=にょうじょう)と出会った」「屋島から戦線離脱した平維盛が高野山で出家した」「一ノ谷の戦いで平敦盛を討たざるを得なかった熊谷直実が高野山で出家し敦盛を弔った」「横笛との恋が叶わず滝口入道が出家し高野山で修業した」などの話が残されている。
今回の出陳品は、平安・鎌倉時代を中心に、国宝4点、重要文化財11点を含む計約40点。心を引きつけるのは、両界曼荼羅図(重文)で、これは落雷で焼失した壇上伽藍の復興に努めた平清盛が、大塔再建後に弘法大師と出会い、信仰心を深めて奉納。両界(金剛・胎蔵)のうち胎蔵界曼荼羅には、自らの頭の血で大日如来を描き、心を捧げている。
不動明王坐像(重文)は壇上伽藍にある国宝・不動堂の旧本尊で、運慶作の八大童子像とともに祀られてきた。行勝(ぎょうしょう)上人の念持仏と伝えられる。
特別公開となる「歌会の絵図」(高野山・熊谷寺所蔵)は、法然、親鸞上人、九条兼実(くじょう かねざね)、熊谷直実の4人が和歌を詠む光景。
これは法然上人らが鎌倉将軍・源実朝の命により、源平合戦の戦死者の「怨親(おんしん)平等追福法要」に高野山を訪れ、熊谷寺に滞在。この時、現れた弘法大師の説法が、中国浄土宗の僧・善導(ぜんどう)大師の称名念仏を中心とする浄土思想と等しく、一室に集まり歌会をする姿。九条兼実が描き、熊谷直実が和歌を書いた作品。
このほか国宝・源義経書状(宝簡集)や未指定の高野大師行状図画巻第十(大塔修造事)=成慶院所蔵=、阿弥陀三尊名号=熊谷寺所蔵=などもある。
入館料は一般600円、高校・大学生350円、小中学生250円。開館は午前8時30分、閉館は10月末まで午後5時30分、以降は午後5時。問い合わせは高野山霊宝館(電話=0736・56・2029)へ。
写真(上)は平清盛が奉納した両界曼荼羅図(金剛・胎蔵界)のうち清盛が自身の血で大日如来を描いた血曼荼羅。写真(中)は国宝・不動堂の旧本尊・不動明王坐像。写真(下)は特別公開の「歌会の絵図」。


更新日:2017年10月19日 木曜日 00:00

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