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水田へ「分水戸」で水配り♪恋野米の中将姫の里

全国でも珍しい「分水戸(ぶんすいこ)」により、溜池(ためいけ)から水を引いての、和歌山県橋本市恋野地区の水田づくり「代掻(しろか)き」作業が、5月31日、一斉に行われた。同地区は奈良時代の女性史ヒロイン・中将姫ゆかりの里で、逸品「恋野米」は有名。前区長・水利組合長で合鴨(あいがも)農法を実践している辻本賢三(つじもと・けんぞう)さんは「今年もおいしい米を作り、皆様に喜んでいただきたい」と張り切っている。
恋野地区は紀の川南側の丘陵地にある田園地帯。高齢化の中、近代的な農業ができるよう、約22ヘクタールの田畑を圃場(ほじょう)整備し、先祖の歴史的遺産でもある「分水戸」(最大幅約2メートル、計32か所)を活用している。
「分水戸」は、高台の似賀尾池(にがおいけ)など3か所の溜池から、下流部の田んぼへ引水する際、それぞれの水田の面積に応じて、通水幅を設定。自然に過不足なく水が張られる仕組み。
この日、梅雨入り前とはいえ、溜池の樋門(ひもん)が開けられると、豊富な水が心地よく流れ、あちこちの「分水戸」で方向を変えて、田んぼに流れ込む。
さっそくトラクターが出動して、各水田で「代掻き」が行われ、土と水をかき混ぜ、平にならしていた。田植えは6月1、2両日、農家の人たち総出で行われる。辻本さんの合鴨農法の植田では、6月16日、すみだこども園の5歳児70人、恋野小学校1、2年生18人が、合鴨を放ち、命の尊さや農業の素晴らしさを学ぶ。
辻本さんは「ご先祖が溜池や分水戸を設けてくれたお陰で、とても農業がしやすいし、ここは水も土壌もいいので、おいしい恋野米ができます」と笑顔を見せていた。
写真(上)は中将姫が亡き母をしのんで散策したと伝わる「中将が森」の前にある「分水戸」。写真(中)は溜池から「分水戸」を通じて水が張られた「中将が森」周辺の水田風景。合鴨農法が行われる辻本さんの水田近くの「分水戸」。


更新日:2017年6月1日 木曜日 00:00

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