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木彫「飛龍上の観音像」奉納♪定福寺へ匿名仏師・作

ネット上で通称「怠け遍路」で知られる兵庫県の男性仏師が制作した、いわば木彫「飛龍上の観音像」が、和歌山県橋本市賢堂の高野山真言宗・定福寺(じょうふくじ)に奉納された。同寺は世界遺産として追加登録を控える「黒河道(くろこみち)」入口にあり、同仏師を尊崇する高野山麓の遍路夫婦が「世界遺産の登録祈念に」と仲立ちして奉納した。生地清祥(おんじ・せいしょう)住職は「とても見事な木彫です。かならず本堂に飾り、黒河道を通る方々に見ていただきます」と喜んでいる。
この木彫「飛龍上の観音像」(横約1・5メートル、高さ約40センチ)は、青い飛龍の背中にまるで座布団のように雲がかかり、そこに白衣の観音様が座って微笑む姿が施されている。小さな木彫の置物も奉納され、そこには蓮の葉に座ったお地蔵さま、行脚中のお地蔵さまの姿が刻まれている。
高野山麓の遍路夫婦は、通称「怠け遍路」と呼ばれている仏師と、約15年前に知り合い、何度も「四国八十八か所」を巡礼する熱心さに感銘を受けた。
以来、親交を結び、これまで「怠け遍路」と橋本・伊都地方の寺院の仲立ちをして、弘法大師・空海の御母堂(ごぼどう)を祀る九度山町の慈尊院、高野山内の大円院、椎出鬼の舞で名高い椎出の地蔵寺、藤の寺で知られる橋本市の子安地蔵寺などに、「怠け遍路」の木彫作品を奉納。今回は黒河道の世界遺産・追加登録を「祈念」して届けたという。
同寺からの依頼で、和歌山県の伝統的工芸品・紀州高野組子細工の木工芸家・池田秀峯(いけだ・しゅうほう)さんが、この木彫「飛龍上の観音像」を本堂・壁面に取り付けることになっている。
遍路夫婦は「通称〝怠け遍路〟さんが、この木彫作品について、『私は名もない者、この木彫、お寺で夜露をしのげたら、有難い』と話されていました」と説明。生地住職は「誠に有難く、うれしいです。大切に保存展示し、黒河道を歩く人たちに、ご覧いただきます」と感謝していた。
世界遺産・追加登録が審議される国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は今年7月、開催地のトルコで起きた軍部クーデター(未遂)により延期。この10月24~26日、パリで再開されることになっている。
写真(上)は小口さんを通じて〝怠け遍路〟から奉納された木彫「飛龍上の観音像」=左端は生地住職、右端は池田さん。写真(中)は青い飛龍と雲の座布団に座った観音様。写真(下)は黒河道入口に建つ定福寺。


更新日:2016年10月21日 金曜日 00:00

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