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心打つ「あえてよかった」~山口酔岳さん遺作展

山と酒が大好きで、家族や友人に愛された書家・山口酔岳=やまぐち・すいがく(本名・正博(まさひろ)=さん(和歌山県橋本市古佐田)の「山口酔岳・遺作展」が、6月17日、橋本市教育文化会館4階で始まった。とくに親交の深かった書家グループ「百之会(ひゃくしかい)」の重鎮・防野宗和(ぼうの・そうわ)さんは「沢山の遺作の中に『あえてよかった』という言葉があり、今は『私たちこそ…』という思いでいっぱいです」と合掌。来場者には心打つ「山口酔岳・遺作集」(限定600冊)を進呈している。19日(日)まで。入場無料。
山口さんは昭和9年(1934)、橋本市古佐田出身。元・南海電鉄社員。同54年から故・関根真石(せきね・しんせき)先生、平成6年(1994)から故・政本遂之(まさもと・ついし)先生に師事。百之会の元事務局長、紀北文人会会員。橋本市文化功労者。
また、山口さんは登山家でもあり、ヒマラヤ・カルパタールに2度登頂。妻の美子(よしこ)さん(80)と「日本100名山」を完登。無類の酒好きで、書&酒仲間10人が、酒席を共に親交を温めてきた。
平成26年4月に同文化会館で開かれた「百之会展」の際には、当時79歳の山口さんが「来年は私も傘寿、ここで記念の初個展を開き、作品集も出版したい」と、防野さんに心を打ち明け、協力を依頼。その準備途中の同年7月、無念にも急逝・病没した。
防野さんは「山口さん念願の、傘寿記念の個展、作品集の出版が出来ず残念」だが、「山口さんの遺志を必ず実らせたい」と決意。書&酒仲間ら百之会会員と心一つにして、「遺作展の開催」「遺作集の出版」を実現した。
この日、会場には書作品83点、陶芸作品20点と篆刻(てんこく)作品を展示。例えば「雪嶺風遊」としたためた力強い文字の額、「一期一会」と書き、眼光鋭い達磨(だるま)を描いた掛け軸。「自分の姿を はっきり示し 千古動かず そびえ立つ山 自分の道を はっきり求め 日々ひとすじ 流れゆく川 あゝ山に学べ 川に習え」(真民の詩)と表わした額。
これら山口さんが選んだ先哲の言葉や詩、それぞれの意味にふさわしい筆遣い、自ら仕上げた書・表装・落款(らっかん)の輝き。いずれも自然と向き合い、仲間と酒を酌み交わし、人生を遊々と讃えた心が溢れていて、誰の目にも感銘深い。
会場の一角には「遺作集」に収めた酒仲間のメッセージの一部を抜粋して展示。百之会事務局長の河盛茂(かわもり・しげる)さんは「もう一度、美子を上高地に連れて行きたい」と言った、奥様を思っての言葉が今でも忘れられませんと綴り、防野さんは遺作集の「あとがき」で、遺作の中の「あえてよかった」(半紙サイズ)の言葉に涙し、酒と山を愛した「酔岳」さんの「ご冥福」を祈り、山口さんに「あえてよかった」という心で結んでいる。
美子さんは着物姿で会場に立ち、「このように皆様に個展、遺作集を実現していただいて、主人は天国できっと喜んでいます。長男・岳人(たけひと)と共に感謝しています」と挨拶していた。
開場時間は午前9時~午後5時(最終日は同4時)。遺作集進呈は限定先着順。
写真(上)は心打つ山口さんの遺作「あえてよかった」と防野宗和さん。写真(中)は在りし日の山口酔岳さん。写真(下)は山口酔岳・遺作展の会場風景。

更新日:2016年6月18日 土曜日 00:00

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