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江戸創業・初桜酒造を県表彰~唯1軒「川上酒」守る

紀の川上流で明治・大正時代に隆盛を極めた「川上酒」の伝統を唯1軒守り続けている和歌山県かつらぎ町中飯降85、初桜酒造株式会社=笠勝清人(かさかつ・きよと)社長(61)が、このほど名誉ある「和歌山県100年企業」に選ばれ、仁坂吉伸(にさか・よしのぶ)知事から表彰された。同社は弘法大師・空海の故事にちなむ「高野山般若湯(はんにゃとう)」を醸造・販売することで名高く、笠勝社長は「必ず次世代に継承したい」と誓っていた。
同社は1866年(慶応2)、高野山麓を流れる紀ノ川畔に創業。弘法大師が高野山開創の際、神領貸与の世話になった丹生都比売(にうつひめ)神社のある同町天野の名産「天野米(あまのまい)」と、味わい深い和泉山脈の伏流水を使用。笠勝社長と但馬杜氏(たじまとうじ)が純米、純米吟醸酒を造り、毎年1升瓶約30000本を地元や大阪、東京などに出荷している。
紀の川上流域で醸造される酒は「川上酒」と呼ばれ、とくに明治~大正~昭和初期には、同社など33軒の酒蔵があったが、「灘・伏見」の名声が高まり、酒の量産が進むにつれて「川上酒」の廃業が相次ぎ、現在では同社1軒だけが「酒どころ」の底力を見せている。
とくに同社の「高野山般若湯(こうやさんはんにゃとう)」は看板商品。昔、高野山は「飲酒禁制」だったが、弘法大師は「塩酒一盃(おんしゅいっぱい)これを許す」と、酒の効用を認めたため、山内では酒を「般若湯」と言い換えて愛飲。「高野山般若湯」はそこから命名され、今なお好評を博している。
明治時代に建造された酒蔵は、独特の建築美が漂い、国の登録有形文化財。同社はこの酒蔵でコンサートなどを催し、毎年2月第2、第3日曜日には「酒蔵見学会」を開催。「どっこい川上酒は生きている」ことをアピールしている。
笠勝社長は今回の表彰に感謝するとともに、「歴史的な〝川上酒〟のブランドを忘れず、逸品を造り続けたい。家族ともども企業継承にも力を入れたい」と語った。
酒蔵見学会は参加無料、予約制。新酒(搾りたて原酒)は12月5日から発売。問い合わせは同社(0736・22・0005)へ。
写真(上)は国の登録文化財の「酒蔵見学」に参加した人々と醸造課程を説明する笠勝社長。写真(中)は仁坂知事から表彰された笠勝社長。写真(下)は蔵の床に寝かされた麹(こうじ)の説明を受ける見学者たち。

更新日:2015年12月3日 木曜日 00:00

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