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平井真美子さん〝惜別のピアノ演奏〟~みそや呉服店

和歌山県橋本市のJR・南海橋本駅前の市街地再開発事業により、近く取り壊される呉服の老舗「みそや呉服店」本店=谷口善志郎(たにぐち・よしお)社長(76)=で、2月28日、橋本をルーツとするピアニストで作曲家の平井真美子(ひらい・まみこ)さんのピアノコンサートが開かれた。谷口さんが長年の顧客に謝辞を述べ、平井さんは「この店舗がなくなるのは残念ですが、心から橋本のまちの発展を望みます」と話し、テレビや映画音楽などのオリジナル曲をソロ演奏、約100人の聴衆を魅了していた。
「みそや呉服店」は、明応4年(1495)に味噌(みそ)製造販売店として創業。幕末(1865年)に呉服店に替わった。今の建物は、木造2階建てで、大正時代に建築され、現在の「みそや呉服店」別館(国の登録文化財)から移転。約100年間にわたり、呉服商を営んできた。別館は修復・保存されるが、本店は近々、仮店舗へ移り、取り壊されることになっている。
この日、「みそや呉服店」本店の座敷には、テレビ番組で活用されている貴重なグランドピアノを備え、襖(ふすま)や欄間(らんま)を取り外し、畳には座布団、壁にはお雛さまの掛け軸が飾られ、満員御礼。
初めに谷口社長は、「この店舗を撤去するのは、私にとって青天の霹靂(へきれき)です。別れは仕方ありませんが、今日のコンサートを、次への第一歩としたい」と挨拶した。
清楚な姿で登場した平井さんは、「ここは、私の母の実家で、祖父・祖母の家です。私は京都で生まれ、東京在住ですが、正月や夏休みなどには、橋本に帰り、懐かしい思い出で、いっぱいです」と自己紹介。
「映画 中村勘三郎」の劇中曲をはじめ、「銀河鉄道」「新緑の踊り」「雲」など、折々の情景や心情を表現したオリジナル曲を楽譜なしで演奏。最後に「小学生時代に、演奏会で発表し、ピアノが弾けた喜びに、涙が出てしまった」というショパンの「幻想協奏曲」を披露。会場からは終始、大きな拍手が起きていた。
谷口社長は、和歌山県かつらぎ町出身の俳優・小林稔侍(こばやし・ねんじ)さんから届いたお祝いの蘭(らん)に感激し、平井さんは「同じ和歌山なので、親しくしていただいています」と説明。「今回、この店舗がなくなることは残念ですが、ここで皆様とともにコンサートの時間を過ごせたことはうれしい。未来の人たちが、素晴らしいと思う橋本に生まれ変ってほしいです」と語った。
写真(上、中)は「みそや呉服店」本店でピアノ演奏する平井真美子さん。写真(下)は大正時代からの老舗「みそや呉服店」本店をバックにした谷口社長と平井真美子さん。


更新日:2015年3月1日 日曜日 00:00

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