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高野山の国宝・不動堂、特別公開~須弥壇も素敵

世界遺産・高野山(和歌山県高野町)の壇上伽藍(だんじょうがらん)にある国宝・不動堂の特別公開が8月27日から始まり、檜皮葺(ひわだぶき)の屋根や厳かな須弥壇(しゅみだん)など、その歴史的たたずまいが、世界中から訪れる参拝・観光客を楽しませている。29日(金)まで。拝観無料。

高野山真言宗総本山・金剛峯寺によると、この不動堂は建久9年(1198年)、鳥羽上皇の皇女・八条女院を願主として創建。今の建物は14世紀初頭(鎌倉後期)に高野山・一心院谷(いっしんいんだに)に建立され、明治32年(1899年)に国宝(旧)指定、明治41年(1908年)に解体修理、現在地に移築された。

不動堂の外観は、平安貴族の邸宅風で、見る角度により形態が変わる、青苔(せいたい)に彩られた檜皮葺きの屋根、堂内には木目漆塗(うるしぬり)に飾金具(かざりかなぐ)を打った須弥壇(しゅみだん)を配置。古来、運慶作の八大童子像と、本尊不動明王が祀られていたことから、「不動堂」と呼ばれている。

ただ、須弥壇があるのに、天井には煤跡(すすあと)や薫香(くんこう)の形跡がない、他の諸堂(しょどう)と比べて屋根や天井が低い、本来は本堂に祀られる諸仏が堂内に安置されていた(現在は霊宝館・収蔵庫)…ことなどから、拝観者に〝護摩を焚かない不思議な不動堂〟として、古(いにしえ)ロマンを感じさせている。

開祖・弘法大師・空海の入定(にゅうじょう)をしのぶ旧正御影供(きゅうしょうみえく)の際には、高野山の諸堂すべて公開、この不動堂だけは非公開だったが、平成27年春の「高野山開創1200年記念大法会」を控えて、平成24、25年と特別公開、今回が連続3年目の特別公開となった。

高野山・金剛峯寺を訪れ、たまたま特別公開を知った参拝・観光客らは、「きょうは運がいいな、見せてもらえるのですか」と大喜びで、次々と靴を脱ぎ、広縁(ひろえん)に上がり、上に向って開けられた蔀戸(しとみど)の下から、堂内をゆったり拝観。大阪から来たという主婦は「須弥壇の美しさには、心打たれました。よくもまあ700年間も、このように大切に保存されてきたものですね」と感心していた。

高野山・霊宝館(れいほうかん)の木村悟(きむら・さとる)課長は「国宝の建物に、持ち物が当たるなどして、傷でもついたら大変なので、蔀戸を開けた外側からの拝観となりますが、この機会に高野山・不動堂の優美さをご覧ください」と言っている。

写真(上)は特別公開された高野山・不動堂を拝観する参拝・観光客の皆さん。写真(中)は700年間「美」を保つ堂内の須弥壇。写真(下)は優美な造営ぶりを見せる高野山・不動堂の正面付近。


更新日:2014年8月28日 木曜日 00:00

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